2023-08-11

日本損害保険協会・新納啓介会長「変化の激しい時代、個人・企業の選択、挑戦を保険という形で後押ししていく」

新納啓介・日本損害保険協会会長




若年層との接点をいかに持っていくか

 ─ 損保業界だけでなく、生命保険業界なども悩んでいますが、若年層との接点をどのように模索していますか。

 新納 例えば防災・減災の分野では各地域で小学生向けの防災教育プログラム「ぼうさい探検隊」に取り組んでいますが、非常に広がってきていることを実感しています。

 この活動の継続に加え、リスクへの備えをさらに広める余地があるのではないかと思います。自然災害自体を避けて通ることは難しいですが、それが訪れた時に、事前にどういう対応を取っていただくか、事後にどう過ごしていただくかといったことがわかっているだけでも影響度を抑えることができます。

 その備えの一つが保険ですが、今後ますます自然災害が増えていきそうな流れの中では、この取り組みをさらに強化していく必要があります。

 また今、国として若いうちから金融リテラシーを身に付けて欲しいという考えから、2024年度中にも「金融経済教育推進機構」が設立される見通しですが、我々損保で言えば、自然災害などリスクについて知っていただき、備えてもらうための活動をさらに強化する必要があると考えています。

 ─ 改めて、将来の損害保険は日本において、どのような役割を果たすものとして存在したいと考えますか。

 新納 変化が激しい世の中で、今後もそのスピードは増すことはあっても、スローダウンすることはないのではないかと思っています。

 そうした変化の中で個人、企業が何かを推し進めていく時に、非常に難しい選択を迫られる場面を保険という形で下支え、後押ししていくことが、ますます重要になると思っています。

 これまでも我々が持ってきた使命ですが、さらにバージョンアップさせていく。地域の自治体とも一緒になって、防災・減災に取り組んだり、万が一の時に保険金を素早くお支払いするといった形で活躍することで、我々の存在意義、存在価値が増してくると考えます。

 ─ これからの損保業界を担うであろう若者達へのメッセージを聞かせて下さい。

 新納 自然災害が頻発し、非常に難しく混沌とした、将来が見えづらい時代です。だからこそ、皆様に安心・安全をお届けするということが、さらに大切になってくると思います。

 今の若年層は、社会の様々な問題に対してアクションを起こしたい、参画したいという人たちも多いのではないかと思いますが、そういう「志」のある方が活躍できるフィールドが業界にはたくさんあります。日本だけでなく、世界に向けて安心・安全を届けることができる業界だと思っています。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事