国、地域とは何かをイスラエルに学ぶ
─ こうした大事な職業に人が来るようになるための方策をどう考えますか。
河北 私案ですが、私は日本に必要なのは「徴用制度」だと思います。例えば18歳で高校を卒業したら、介護、農業、自衛隊の中から選択して2年間生活する。それによってまず、若い働き手が確保できます。
そして、そうした人材を単に人手として使っては駄目なんです。例えば農業体験で土に触れたり、地元の人達と交流する中で、将来、その人にとって役に立つような教育をすることが大事です。介護にしても、心の問題から始めて、人をお世話することの大切さ、介護をする上での技術を教えていく。
実は、私はこうした考え方をイスラエルの女性から教えてもらったんです。
─ イスラエルには徴兵制度がありますね。
河北 そうです。女性が2年、男性が3年です。私が会った女性は高校を卒業した後、イスラエルで東京大学に相当する大学の工学部に入ることが決まりました。
一方、兵役の2年間、彼女はジェット戦闘機パイロットの訓練を受け、そこで様々な工学の勉強を実地でしたわけです。それが将来の自分に非常に役立つと彼女は言っていました。
彼女は兵役の2年間支給された給与を貯めて、兵役終了後に1年間の世界一周旅行に行き、その後大学に入りました。
大学に何となく入って4年間を過ごす日本の大学生とは大きく違います。それが日本とイスラエルの社会の違いでもあります。日本では徴兵制度は無理ですが、徴用制度ならばできるのではないかと。
─ 国とは何か、地域とは何かを若いうちから考えると。
河北 ロシア・ウクライナ戦争を見ても、まさにそうです。ウクライナ国民はロシアが攻めてきた時に、国に残って戦うという人達が続々と出てきました。日本に同じことが起きた時に、留まって戦おうという人がどれだけいるかです。
(以下次号)