2023-10-26

三井住友信託銀行・大山一也の「一味違う」資産運用戦略

大山一也・三井住友信託銀行社長




「独立系信託銀行」であり続けることの意味

 これまで、三井住友トラストグループは独立系信託銀行グループとして歩んできた。この「独立系」であることの意味を、大山氏はどう考えているのか。

「信託の原点は委託者の思いを実現するということ。信託銀行が中心のグループであるということは、中立性や社会性を一番に大切にしないといけない。マルチステークホルダーに託された存在であるためには、我々自身が上場を維持し、市場の規律と直接対峙していることが必要。特定のグループに属することなく独立系の信託であることは、信託銀行グループとしての根本理念」

 冒頭に大山氏が言及した「資金、資産、資本の好循環」を実現するため、三井住友トラストグループはその中核的役割を果たしていく存在になることを目指している。商業銀行を中核とするメガバンクグループとは進むべき方向が違うのだということ。

 大山氏の原点には、1999年3月の旧住友信託銀行への公的資金注入がある。「生存本能を研ぎ澄ませておかないと、いつ潰れてもおかしくない」という緊張状態の中で金融再編が進んだが、当時から大山氏は「信託銀行中心のグループをつくって、中核的役割を果たしたいというのが夢だった」と強調する。

 信託銀行中心のグループが誕生して10年、足場は固まった。今後はグループ一丸で大山氏が目指す「資金、資産、資本の好循環」の具体化に向かって走れるかが問われる。

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