2023-12-20

三井不動産「神宮外苑再開発」の将来像、「誰もが自由に憩える場所に」

「神宮外苑地区まちづくり」の将来イメージ




地道な活動で理解と共感を広げる

 その意味で改めて、三井不動産を始めとする事業者に求められるのは「情報発信」だと言える。

 すでに、再開発プロジェクトのサイトでは質問フォームを設け、23年11月末時点で300件を超える質問に回答している。

 違った観点では、23年11月に「親子でどんぐりを拾おう!」というイベントを開催。神宮外苑に落ちているどんぐりを拾って、それを植えて、苗木に育て、それを神宮外苑に新たに植えていく外苑の自然に親しみ、知ってもらうための取り組み。

 また、23年10月には、外苑に新たな緑をつくるための賛助金を募集する「献木プログラム」も始めている。こうした地道な取り組みによって、再開発に関心のある人達の理解や共感を広げようとしている。

 また、この地は鈴木氏の言葉にあったように、世界に誇れる「スポーツの聖地」。その評価に耐えうる「ハード」を整備することが求められる。そして三井不動産は、これまで進めてきた再開発でそこに「ソフト」も融合させてきた。

 この両輪によって「行きたくなる街、行きたくなる施設をつくるのが、我々の街づくりにおける『一丁目一番地』。ハードとソフトを組み合わせて、未来に向けた街づくりを進めたいという思いを強く持ち、再開発に取り組んでいる」

 三井不動産は、これまで多くの再開発を手掛けてきたが、その過程では開発の将来像がうまく伝わらずに批判を受けた案件もあった。だが、「大きな開発になればなるほど将来がイメージしづらい。しかし、できてみると『こんなにいい街づくりだったのか』と思っていただけるケースが多い。神宮外苑再開発も完成後には『いい街づくりだね』と思っていただけるのではないか」と鈴木氏は強調。

 コロナ禍を経て、我々は「リアル」の良さ、感動を再認識したが、スポーツはその最たるもの。神宮外苑開発がスポーツ、さらにはエンターテインメントで人々に感動を与えるものになるかは、これからの世間との「対話」にもかかっている。

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