2021-09-28

【政界】脱原発を含めたエネルギー問題や「企業から人へ」の分配問題が焦点に

※9月22日時点

変化するロックダウンへの姿勢


 菅義偉首相が退陣を表明し、自民党は総裁選に突入した。最近の各社世論調査によると同党は比較的堅調で、党内には「衆院選で与党過半数割れの危機は脱した」という見方が広がる。

 新総裁が次期首相として日本のかじ取りを担うのは事実。とすれば、総裁選は単なる人気投票ではなく、コロナ禍の中で日本再生を図る政策を打ち出せるかどうかが課題となる。

 新型コロナウイルスの緊急事態宣言は東京や大阪など19都道府県で9月30日まで延長された。菅首相は退陣前に解除を決定したい考えだが、新型コロナ対策が次の政権でも最大の課題になるのは間違いない。

 菅内閣でワクチン接種政策を担当してきた河野太郎行政改革担当相は、高齢者への接種が7月末にほぼ完了したことなどを実績としてアピールする。一方で、職場接種の進捗が滞ったり、ワクチンが接種会場に届かなったりするなど、「ワクチン担当相として河野氏にも責任の一端がある」という声も出た。

 今後の感染再拡大に備え、ロックダウン(都市封鎖)についても「どういう法律、体制、システムが準備できるか議論していく必要がある」と前向きだ。高市早苗前総務相も法整備の検討を公約した。この点はロックダウンに一貫して慎重だった菅政権との違いだ。

 岸田文雄前政調会長は「医療難民ゼロ」「健康危機管理庁創設」などを打ち出した。緊急事態宣言の発令と延長を繰り返し、国民の慣れを招いた菅政権の失敗を意識し、政策の狙いについて「国民の協力を得る納得感ある説明」を掲げる。

 経済政策では安倍、菅両政権が進めた「アベノミクス」の継続か転換かがポイントになる。安倍晋三前首相の支援を受ける高市氏は、金融緩和、機動的な財政出動、大胆な危機管理投資・成長投資という「三本の矢」を提唱し、アベノミクスを継承する姿勢を鮮明にしている。

 岸田氏は10日の記者会見で「小泉(純一郎元首相)改革以降の新自由主義的政策を転換する」と強調した。ただ、安倍氏が影響力を持つ細田派や第2派閥の麻生派に配慮し、岸田氏がアベノミクスを正面から批判しているわけではない。

 格差是正のために経済成長と分配の両立を図るという岸田氏の主張は、安倍政権が提唱した「成長と分配の好循環」に重なる。これに対し、河野氏は「アベノミクスで企業部門は非常に利益を上げることができたが、残念ながら、それが賃金まで波及してこなかった」と批判的だ。

 アベノミクスのとき、企業は増配や自社株買いで自社の株価の上昇機運をつくり、株主や投資家に報いてきたが、肝心の一般社員の賃金水準は上がってこなかったという現実。そこで河野氏は「企業から人へ」をスローガンに分配を進めていく考え。労働分配率を一定水準以上にした企業に法人税の特例措置を設けるなど、「個人を重視する経済」を柱に据えた。

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