2022-03-14

【財務省】米欧発の金利上昇圧力が波及 財政運営への影響必至

米欧発の金利上昇圧力が日本にも波及してきた。2月に入り新発10年物国債の利回りが6年ぶりの高水準をつけ、日銀は金利上昇を抑え込むため、3年半ぶりに無制限に国債を買う指し値オペを発動した。だが、米国のインフレ圧力の高まりで金利上昇が続けば、多額の政府債務を抱える日本の財政運営は厳しさを増す可能性がある。

 鈴木俊一財務相は2月22日の記者会見で、「財政の持続可能性への信認が失われないよう、歳出と歳入両面の改革を進めていく」と語り、財政規律の重要性を改めて示した。

 ただ、7月に参院選を控える上、新型コロナウイルスの感染が続く中で歳出改革は容易ではない。自民党内には2025年度の国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)黒字化達成目標をめぐり、目標時期の撤廃を求める新たな議員連盟が発足するなど、積極財政への要請は与党内で根強い。

 財務省は「財政に手を付けるのは参院選後」(主計局幹部)と話すが、財政規律へ舵を切るのは首相の強い政権基盤が前提。岸田文雄首相は本来、財政規律を重視する考えだが、首相就任後は持論を封印。参院選は自民苦戦の観測も出ており、歳出カットという国民に痛みを伴う政策への道のりは険しい。

 一方、ロシアの大規模侵攻によって緊迫化したウクライナ情勢に関し、鈴木氏は「状況の緊張緩和に向けた努力の支援が最優先課題だ」とした上で、日本経済への影響について「引き続き注視する」と語った。原油価格高騰への対応として焦点となっているトリガー条項の凍結解除に関しては「財源を含め検討を進めているところだ」と述べるにとどめた。

 財務省は税収減を警戒し「ウクライナ情勢の悪材料がほぼ出尽くしており、凍結解除は必要ない」(幹部)との立場だが、原油市場の動向次第では曲折がありそうだ。

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