2022-03-14

【政界】頼みの連合が岸田政権にシフト 参院選前に混迷を深める立憲民主党

イラスト・山田紳



「国民民主は与党か」

 官公労と民間労組を統一して連合が結成されたのは1989年11月。同年7月の参院選では当時の社会党が躍進し、委員長の土井たか子(故人)は「山が動いた」の名文句を残した。労働界の再編は政界再編とリンクし、93年に非自民の細川護熙政権が誕生。その後、連合は旧民主党を支援し、2009年の政権交代にも貢献した。

 ところが、12年12月に自民党が政権を奪還すると、野党は長期低迷期に入る。元首相の安倍晋三のもとで「官製春闘」が常態化し、岸田政権は「新しい資本主義」の分配戦略として①看護・介護・保育・幼児教育などの給与引き上げ②民間企業の賃上げ支援③こども・子育て支援─に取り組んでいる。連合が政治的な果実を手にするには、政権と政策を協議する必要が高まったということだ。

 それを承知で自民党は揺さぶりをかける。3月13日の党大会で決定する22年の運動方針では、「友好的な労組との政策懇談を進める」という従来の表現から踏み込んで「連合」を明記する方向だ。運動方針をとりまとめるのは小渕。そう考えると、冒頭の芳野との会合には「顔合わせ」以上の意味が浮かんでくる。

 立憲民主党代表の泉は歯切れが悪い。連合が基本方針を決めた翌日の記者会見では「支援の強弱がその都度示されるわけではない。(立憲の)政党名が明記され、まさに連携していくということだ」と述べ、「支援」と「連携」にさほど差はないと平静を装った。立憲は参院選の1人区で引き続き野党候補の一本化を目指す。

 ただ、共産党との間合いの取り方はぶれている。立憲民主、維新、国民民主など野党4会派は2月中旬、国会で共産抜きの会談を定例化しようとしたが、共産が猛反発したため、わずか1日で中止に転じた。お粗末な対応に、立憲の党内では国会対策委員長の馬淵澄夫への不満がくすぶる。

 一方、国民民主党は2月21日の衆院予算委員会と翌日の本会議で22年度当初予算案に賛成した。「高騰を続けるガソリン・軽油価格対策について、政府は『トリガー条項凍結解除』の提案を採用する方向を示した」(政調会長談話)からだという。

 しかし、その時点で岸田は、ガソリン税を一時的に引き下げる同条項の凍結解除を含めて「あらゆる選択肢を排除しない」と答弁したに過ぎない。代表代行の前原誠司は玉木の方針に異を唱えたが、聞き入れられなかった。

 維新幹事長の藤田文武は「玉木代表がどういう意図なのかわからないが、政権与党に入りたいと捉えられても仕方がない」と批判した。玉木が主導した異例の賛成劇は、外形的には連合の基本方針と軌を一にしているように映る。

 共産党は野党共闘を目指す方針を変えていないが、現状では覚束ない。

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