2022-03-14

【政界】頼みの連合が岸田政権にシフト 参院選前に混迷を深める立憲民主党

イラスト・山田紳



水際対策で後手

 与党としては大きなスキャンダルはなく、国会はほぼ無風状態だ。岸田は2月17日、約1カ月半ぶりの記者会見で新型コロナ対策について「第6波の出口を見すえて準備を進めていく」と表明した。政府は沖縄など5県のまん延防止等重点措置を同月20日で解除し、3月6日が期限の31都道府県の感染状況が改善するかが焦点だ。

 ここにきて政府の対策は後手に回る場面が目立つ。「主要7カ国で最も厳しい」とうたった水際対策は経済界や与党から「鎖国政策」などと不満が噴出。政府は圧力に抗しきれずに、1日の入国者総数の上限を3月から5000人に緩和すると決めた。

 経団連会長の十倉雅和は「40万人が足止めされている。そのうち15万人は留学生だ。第一歩として評価するが、政府はぜひ加速してほしい」と注文を付ける。人手不足に対して留学生の奪い合いの状況が続く中で、日本に入国できず、韓国に留学先を変える動きも顕著。コロナ禍での〝開国〟は難題だ。

 外交面では、ロシアのウクライナ侵攻や韓国大統領選(3月9日投開票)後の日韓関係など課題は山積している。報道各社の2月の世論調査で内閣支持率はじわりと下がり始めた。

 閣僚経験者は「岸田は何もしていないという見方が少しずつ広がっているのかもしれない。とにかく、この政権は野党に救われている」と指摘する。

 野党の存在感が薄いのは事実。だからこそ、安全運転に徹するだけでは、岸田も参院選の先がなかなか見通せない。首相としての国の舵取りが試される。 (敬称略)

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