独自対話と決別
そうした中で、岸田はロシアのウクライナ侵略に対しては早くから腹をくくった。「侵略したら、これまで通りにはいかなくなる」と吹っ切れた様子だったという。
【総務省】有識者会議で地方放送局への出資規制緩和の見直しを検討 政府は、ロシアが14年にウクライナ南部クリミア半島を強制的に併合した際、欧米諸国よりも遅れて対ロシア制裁を決めた。制裁内容もクリミア半島で生産された物品の輸入を制限するなど限定的だった。
当時は、ロシアとの共同経済活動をテコに北方領土交渉を前進させることを目指していた。ロシアとの対話継続で中国を牽制することも狙ったためでもあった。
日米同盟を基軸に日本独自の外交スタンスをとってきたこれまでの路線とは異なり、岸田はG7各国と足並みを揃えることを最も重視している。
ロシアのウクライナ侵略が続けば、北方領土問題を動かすことは絶望的になる。G7で結束してロシア包囲網を築かなければ、中国が東シナ海で力による現状変更を試みることにつながりかねないという懸念もあった。
岸田は2月27日の記者会見で「暴挙には高い代償が伴うことを示す」と訴え、大統領のプーチンを含むロシア政府関係者らの資産を凍結することを発表した。さらに、欧米によるSWIFT(国際銀行間通信協会)からのロシアの特定銀行排除にも加わる方針を示した。「ロシアとの関係をこれまで通りにしていくことは、もはやできない」と語った。