2022-03-26

【政界】真価問われる「岸田リアリズム外交」 日米同盟を基軸に日本ならではの生き方も

イラスト・山田紳



真価問われる外交

「ロシアの西の隣国はウクライナだが、東の隣国は日本だ。こういう現実を我々は直視しなければいけない」

【ロシアのウクライナ侵攻】日・米・欧は新国際秩序作りへどう動くか、そして日本の対応は?

 自民党参院幹事長の世耕弘成は3月6日の報道番組で、政府の厳しい対ロシア制裁などに関し、そう指摘した。まさに東アジアの現実を直視した「新時代リアリズム外交」を展開すべきときだというのだ。

 岸田はウクライナ侵略が始まると、積極的に首脳外交を展開した。

 1日夜はフランス大統領のマクロンと電話会談し、ロシアの力による一方的な現状変更に強力な制裁措置をとっていくことを確認した。ラオス首相のパンカムとも電話会談を行い、アジアを含む国際社会の根幹を揺るがすものだと厳しく非難した。

 2日はポーランド首相のモラヴィエツキと電話会談。ポーランドなどに避難したウクライナ人を日本に受け入れる方針を伝達すると共に、ウクライナ在留邦人の円滑なポーランド入国などについて協力を要請した。

 この日はドイツ大統領のシュタインマイヤーとも電話で会談し、今年のG7議長国のドイツと来年の議長国・日本の役割が一層重要になっていることを踏まえ、引き続き緊密に連携していくことで一致した。

 そして翌3日には、アメリカ大統領のバイデン、オーストラリア首相のモリソン、インド首相のモディと日米豪印(クアッド)首脳テレビ会議を実施した。力による一方的な現状変更をインド太平洋地域では許さず、地域の安定と平和を促進させていくことを確認した。

 自民党政調会長の高市早苗は、警鐘を鳴らしてきた。「(ウクライナ侵略は)遠い欧州で起きていることではない。ロシアは日本の隣国なので、自分たちの問題として考えるべきだ。ロシアと中国が接近している中で、日本周辺で起き得る『最悪の事態』を想定して備えを行うため、議論をしっかりしていく」

 いま日本が当事者意識を持って対応しなければ、台湾や尖閣諸島で「有事」が起きたときに国際社会の支援は得られなくなる。「新時代のリアリズム外交」の真贋が問われる局面が続く。(敬称略)

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