これは経営者にとっては誰にでも起こり得る出来事だと思います。ですから、これは経営上の危機管理とも言えるのです。私も60歳を過ぎ、次の世代のことを考えなければなりません。この問題を次世代に引きずってはならないと。どこかでしっかりと断ち切らなければならないと考えていました。
お陰様で業績も成長を続けており、私が社長になった1994年の当社の売上高は約40億円でしたがコロナ禍以前は200億円にまで拡大、これがコロナ禍で一時的に150億円に落ち込みましたが、昨年度は中国向け輸出の増加で162億円と回復基調にあります。
経営体質も損益分岐点は非常に低くなりましたし、主な近代化設備にも投資済み、広告費も継続的に投じています。もし私が姉妹の圧力に屈し中国ビジネスを諦めていたら、到底現在の業績は望めなかったでしょう。
社長就任時には負債が40 億円もありました。売上高に匹敵する額です。ですから、社長就任から10年間は借金を返済する日々。厳しい状況が続きました。しかし、借金を返済していかなければ次の手を打てなかったのも事実です。
ただ、その10年の間に次の種を仕込んでおきました。その結果、「龍角散 らくらく服薬ゼリー」や「龍角散ダイレクト」といったヒット商品が生まれたのです。
私が申し上げたいのは経営者の危機管理です。こうした一連の騒動を通じて感じるのは、どんなに事業が好調なときであっても、社内外からどのような問題が出てくるか分からず、それが社外からかもしれませんし、社内、つまりは社員や役員から出てくるかもしれないということです。
私は今、勇気を振り絞り病身を押してまで真実を証言してくれた女性社員のためにも、事実を皆さんに知って欲しいと思い公表を決意しました。
様々なメディアでいろいろな角度から報道されましたが、証拠を伴った事実は私が申し上げた通りです。しかし、経営者は何があっても企業の成長を継続させていかねばなりません。経営革新に終わりはないのです。