2022-06-23

【政界】動き出す自民党の首相経験者たち 見据えるのは参院選後の内閣改造

イラスト・山田紳

※2022年6月22日時点

自民党の首相経験者たちが陰に陽に首相の岸田文雄を支えている─。物価高騰対策を実行するための2022年度補正予算が波乱なく成立し、岸田は参院選への手応えを感じているようだ。岸田が掲げる経済政策「新しい資本主義」の実行計画を閣議決定し、経済財政運営の基本指針「骨太の方針」には「防衛力の抜本的な強化」を盛り込んだ。順風満帆にみえるのも、首相経験者の下支えがあるからだ。参院選で自民党が勝利すれば岸田の力はグッと高まる。それをにらんでの3人の動きとも言えそうだ。

【政界】自信を付け始める岸田首相 財政再建で元首相が神経を尖らせる場面も…

レッテル貼り不発

 立憲民主党代表・泉健太「おそらく物価が上がる品目は6月、7月で3000品目を超える。まさに値上げの夏だ。異次元の物価高騰であり、『岸田インフレ』だと言われている」

 岸田「昨年来、状況が変化している中で、政府として順次、対策を講じている。燃油だけでなく、物価高騰対策をしっかり行っている」

 衆院予算委員会で6月1日に実施された集中審議。野党側による「レッテル貼り」に岸田が気色ばむ場面がみられた。「早く反論させてくれ」と言わんばかりに予算委員長に向かって挙手し、何度も答弁を求めた。

 5月25日に始まった2022年度補正予算案審議は、野党にとって「最大の見せ場」となるはずだった。しかし、追及不足に終わり、補正予算は5月31日にあっさりと成立した。立憲民主党だけでなく、他の野党にも焦りの色が浮かぶ。

 そのためか、この日の集中審議は岸田政権に負のイメージを植え付けようとするレッテル貼りが相次いだ。

 日本維新の会共同代表・馬場伸幸「岸田内閣をたとえて、『無策無敵内閣』と言われている。どういう感想をお持ちか」

 岸田「様々なご指摘は謙虚に受け止めなければならないと思うが、『無策無敵内閣』と言われると、やはり私としては具体的な結果を出していると申し上げなければならない」

 れいわ新選組の衆院議員・大石あきこは、岸田に向かって「『資本家の犬』『財務省の犬』。総理、飼い主を間違えたら駄目。総理の本来の飼い主は国民でないと駄目じゃないですか! 」と語気を強めた。さすがに岸田は答弁することはせず、予算委員長の根本匠が「質問に
あたり用語の使い方には十分お気をつけください」と注意を促し、集中審議を終えた。

 もっとも、いずれのレッテル貼りも岸田内閣の高い支持率を揺るがすほどの決定打にはなっていない。逆に、支持率低迷を続ける野党側の苦しい状況が浮き彫りになった。岸田に近い自民党議員は「総理は戦闘モードに入った」と指摘する。

 通常国会の論戦を「安全運転」に徹し、波乱が予想された補正予算案審議も乗り切った。いよいよ岸田は参院選後を見据えながら臨戦態勢に入ったようだ。

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