2022-06-23

【政界】動き出す自民党の首相経験者たち 見据えるのは参院選後の内閣改造

イラスト・山田紳



改造・人事に照準

「いま国際社会でいろいろとリーダーがきつい立場に追い込まれているが、参院選をやり遂げ、日本は確実に岸田のもとでまとまっているという安心感を世界に与える。そういった国になっていかなければいけない。大事な選挙なので、よろしくお願いする」。麻生は6月上旬の麻生派会合で、参院選に向けて結束を呼びかけた。

 そして、麻生は6月6日夜、安倍と都内のフランス料理店で会食し、参院選の情勢などを巡り意見交換した。この日は2人きりだった。安倍政権時代、麻生と安倍は重要な政治日程の前になると必ず2人きりで意見を交わしてきた。それだけに今も盟友関係にあることをアピールする場になった。

 自民党の最大派閥・安倍派(清和政策研究会)の会長を務める安倍をはじめ、菅と麻生という首相経験者3人が三者三様に岸田を支え始めた。それぞれ照準を定めているのは、参院選後の内閣改造・党役員人事にほかならない。

 岸田が参院選に勝利すれば、大型の国政選挙を気にする必要のない「黄金の3年」を手にし、自身が掲げる政策の実現に向けて突き進むことができる。3人の首相経験者らへの配慮を欠かさず、党内のバランスを重視した人事をするのか。それとも、派閥にとらわれず、思い切った独自の人事を断行するのか。早くも永田町の関心は参院選後に移りつつある。

 そうした中で、岸田へのレッテル貼りも不発に終わった野党勢力は、反転攻勢への足がかりさえつかめずにいる。野党の首相経験者である立憲民主党最高顧問、菅直人は5月下旬、大阪市内の街頭演説でこう訴えていた。

「いまの間違った日本維新の会の政治、いまの自民党の政治、中でも特に安倍さんたちの右寄りの政治に歯止めをかけ、もう一度しっかりした日本の政治を立て直す。そのために力をお貸しいただきたい」

 本丸の岸田を攻め切れなかったため、岸田を支える安倍らに矛先を向けたようだが、大きく潮目が変わる気配はない。(敬称略)

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