「凄腕営業」の行動をデータ化して…
みずほ証券は、この数年来、営業担当者のコンサルティング力を引き上げる狙いで「営業を科学する」として、人材育成や営業にAI(人工知能)を積極的に活用している。
「昔ながらの『俺の背中を見て……』では限界がある。個人の心と頭に収まっているノウハウ、知見を開放していくために、それをデータ化して、多くの人がアクセスできるようにしていく」
例えば、いわゆる「凄腕営業」は、顧客のライフイベントのタイミングで連絡するなどして関係を深めているが、入社間もない担当者にはわからないことが多い。
そこで営業担当者の使うツールにはデータ化した顧客情報から、連絡や訪問のタイミングを表示するようにしている。そこに商品やマーケットの情報を組み合わせて提案していく。また、社内のベストパフォーマーの行動を分析してデータ化、他の営業担当者が学べるようにしている。
こうした取り組みによって、各支店に営業として配属された若手の行動が「合理的」になってきたといった成果が出ているという。
時代の変化によって、若者の意識が変化していることも大きい。かつてであれば「この番地のお客様、全てに名刺を配る」といった「精神論」のような世界もあったが、今はより効率を重視する形に変わった。それによって成果を実感し、モチベーションを保つ形にしていかなければ転職を考えるという人も増えているからだ。
「これだけでなく、データの活用領域はまだまだあると思っている。また、業務プロセスのデジタル化という意味でのDX(デジタルトランスフォーメーション)はとどまることなく進めていく。そして、これによって対面でお客様にしっかり向き合うことに時間を使っていく」