2022-09-15

オリックス・宮内義彦氏の直言「企業の存在意義は社会に富をつくり出すこと。それをチェックするのがガバナンスの根本」

宮内義彦・オリックスシニア・チェアマン



「親会社」がなかったからマネジメントがしっかりした


 ─ 改めて、宮内さんは商社の日綿實業(現双日)から、1964年のオリエント・リース(現オリックス)設立に参画したわけですが、振り返って当時はどういう思いでしたか。

 宮内 当時のベンチャービジネスでしたから、この会社は潰れてしまうかもしれないという思いで走り出しました。そして、走り出したわけですから、何とか生きていかないといけません。生きていった先には、今度は何とか企業を成長させたい、上場企業になりたい、海外にも出てみたい……といった形で、目標が一段ずつ高くなっていきましたね。

 ─ 途中、リース業のライバルが倒産するなどしましたが、この差は何だったと?

 宮内 何だったのでしょうか。一つはバブル崩壊だと考えます。この時のリスク管理ができていたか、いなかったか。あの危機で多くの同業がいなくなり、残ったところも多くは親会社に助けてもらっていました。

 我々は親がいませんから、誰も助けてはくれません。ですからそれによってマネジメントがしっかりしたのだと思います。

 ─ 必死だったということですね。潰してたまるかと。

 宮内 ええ。今にして思えば、バブル崩壊は、凄まじい出来事でした。よく生き残ったと思います。2008年にリーマンショックもありましたが、バブル崩壊は、リーマンショックの比ではありませんでした。

 ただ、バブルが崩壊したということは、当時は誰にもわかりません。バブルという言葉もなかったですから。後から、あれがバブル崩壊と聞かされたのです。その後、「失われた10年」と言われて大変なことになったと思っていたら、今や30年になったわけです。

 ─ 日本は少子化で人口減少が続いており、財政を支える人も減っています。この問題をどう考えますか。

 宮内 人口減少は非常に大きなインパクトがあります。欧州の国などでは妊娠、出産に対して手厚い優遇措置を設けたり、数多くの施策で出生率を保っています。それに対して日本は、以前からわかっていたはずなのにあまり手も打たれていない。移民問題についても議論しておらず、重要なことをほったらかしにしてきたのです。

 ─ 日本は今でも、世界でも最も閉ざされた国と言われます。

 宮内 基本的に外からの人を受け入れないのが日本です。しかし、このままでは世界から取り残されてしまいます。

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