変化対応に向けデジタル技術の蓄積を
─ ここにデジタル化が必要になってくると。
大谷 ええ。1カ月前にいただいた情報を「正」だと思っていろいろな準備をしていても、実際にはその1カ月の間で、その情報がかなり変わっているかもしれないと。
その都度、その変化を含めた莫大なデータを、YKKに流していただくというようなご面倒をお客様におかけすることはできなくなっていますから、先程申し上げたように、いかに日々つながっているかが大事になってくるわけです。
しかも、我々ファスナーだけがお客様とつながっていても駄目だと思っています。原反、生地、ボタン、糸など、アパレルにかかわる様々なサプライヤー間で、どういった統一システムを作り上げていくかということもあります。それをバイヤーとサプライヤーと一緒になってやっていくことが必要になってきます。
─ 従来とは違う考え方が必要になりますね。
大谷 そうです。従来は製品計画に入っていくには、アパレルメーカーに指定していただく必要がありました。ファスナーはYKKを指定しよう、この納期で頼むといったやり取りをグローバルベースでしていたんです。しかし、こうした時代は、今後は変化していくと考えています。
─ その理由は何ですか。
大谷 アパレルメーカーも、グローバルベースでシステム構築を進めており、そうしたメーカーのご要望に対応できなければ受注することができないという世の中になるかもしれません。そうなっても付いていけるようなデジタル技術を兼ね備えておく必要があります。
グローバルベースで見ても、そうしたシステムをつくり上げて、様々なアパレルメーカー、バイヤーに紹介しているソフト会社もたくさんあるんです。
そうした時代の変化に遅れないように、当社では。21年度にデジタル業務企画室を立ち上げ、マーケティングから商品企画・開発・製造・販売までにおいて求められる業務の規定とデジタル化を進めています。