2022-10-04

【ファスナー世界最大手】YKK・大谷裕明社長「世界の各地のリーダーと常に対話できる体制を」

大谷裕明・YKK社長




原材料価格高騰への対応は?


 ─ 今、コロナ禍、ロシアによるウクライナ侵攻もあり、エネルギー、食料、資材の価格が高騰、インフレを招いています。原材料価格の高騰にはどう対応していきますか。

 大谷 まずは我々が自助努力で最大限対応しています。ただ、それを超える部分に関しては、個別にお客様にご相談を申し上げ価格調整をさせていただく場合もあります。

 特にウクライナ危機以降は金属材料の価格の変化も大きいため今後も状況を見極めた対応を進めていきます。

 例えば銅はLME(London Metal Exchange=ロンドン金属取引所)の価格が大幅に上昇しましたが、急下落もしています。こうした激しい変動に対し、我々はしっかりと対応していかなければならないという課題があります。

 多くの日本人の方が持たれているカバンなどについている金属ファスナーはムシ(務歯)の部分が金属であることが多いのですが、自助努力で対応が難しい場合は、正直にお客様に相談することが大事になると思っています。

 ─ 顧客との関係性が非常に大事になりますね。

 大谷 そうです。事業会社にはお客さまとよくご相談した上で判断をして欲しいと伝えています。

 ─ 次に、中国との関係です。米中対立などもあり、経済安全保障という概念が出てくる中、中国とどう向き合うか。神経は使うけれども共存するというのが大方の経済人の合意だと思いますが、YKKはどんなスタンスで取り組みますか。

 大谷 当社は戦後、国内の製造業の中でも早いタイミングで海外進出に踏み出しましたが、中国に進出したのは比較的遅く、1992年に上海YKKジッパー社を設立し、95年に大連YKKジッパー社とYKK深セン社を設立しました。

 その時に、本当に中国の中で事業をして、中国のお客様は我々からファスナーを買ってくれるだろうかと考えたこともありましたが、実際はその時から変わらずに、中国はとても重要な拠点です。


Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事