2022-10-12

 【社名変更】 AZーCOM丸和ホールディングス・和佐見勝社長「3つの物流事業を基軸に次なる成長へ」

和佐見 勝・AZーCOM丸和ホールディングス社長 (丸和運輸機関社長)

 ─ だから新社名では「AZ―COM」が「丸和」より先に来ているのですね。

 和佐見 ええ。そして今後成長するためにはそれなりの資金が必要です。そこで金融機関との交渉は持ち株会社が行います。ですから、持ち株会社は思い切ったことを実行していくための組織となります。40年までに売上高1兆円を実現するためには、やはりスピード感を早めなければなりません。

 ─ そして物流業界では働き方改革が求められています。どう対応していく考えですか。

 和佐見 物流業界では「2024年問題」と言われていますが、ドライバーの年間時間外労働時間が24年から上限960時間に規制されます。物流業界はお客様のデリバリー(配送)が基本です。ですから、これまでは我々の方で時間の調整はできませんでした。しかし、働き方改革は全産業共通の方針ですから、全産業で対応しなければなりません。

 ─ 具体的にどのような対応策を講じていきますか。

 和佐見 デジタルトランスフォーメーション(DX)です。具体的にはスマート物流におけるDXの一環として、「AZ―COMポケット」というアプリを利用し、現場の配送業務の効率化や標準化を支援していきます。
 このアプリにはAI(人工知能)を駆使してドライバーの現在位置や稼働状況をリアルタイムに把握する動態管理機能や集荷配送先の情報を運行管理者とドライバーが共有する集荷配送先カルテ登録機能、そしてトラック対応カーナビ機能などを搭載しています。

 準備を進めて約1年間、日本のDXの第一人者のご指導をいただきながら開発に漕ぎつけました。丸和運輸機関でも配車システムや動態管理のシステムはあったのですが、24年問題への対応も見据えて、この商品を開発しました。23年4月から本格導入する予定です。

 ─ ドライバー専用のアプリということになると。

 和佐見 はい。ビジネス用で輸配送業者専門のアプリになります。そしてこのアプリはAZ―COMネットの会員企業に導入していただきたいと考えています。ですから私はできるだけ安価にしなさいと。他にも似たような商品はありますが、AZ―COMポケットはそれよりも格段に安く、価値あるものにします。

 ─ 採算は取れるのですか。

 和佐見 いえ、難しいです。しかし、将来を考えれば、これがAZ―COMネットのパワーになります。というのも、このアプリを導入すれば生産性向上につながるからです。例えば、トラック対応カーナビ機能ではトラックの車両サイズを考慮したルート案内が可能です。

 また、最寄りの休憩地点をワンタップで検索することもできます。トラックでも駐車可能なコンビニエンスストアを探し出すこともできます。ドライバーにとっては必要なものを素早く検索できる機能になるわけです。こういった機能は他のアプリにはあまりないと思います。

 ─ 管理者に対する機能もあるのですね。

 和佐見 更新作業をすることなく、ドライバーの現在位置をリアルタイムに把握することができますから、誰がどこにいるかが事務所にいても一目で分かるようになっています。また、従来まで紙に記載・保管し、ドライバーにその都度印刷して説明していた集荷配送先のカルテもデジタル化されています。

 これは幹線輸送向けと宅配向けの2つを用意しています。現場に着いたら、どのような手順で集配送の作業をするとスムーズになるかが一目で分かるようになっているのです。これまでは丸和運輸機関でいろいろなサービスを提供してきましたが、このアプリを活用することで、それを上回ったきめ細かなサービスをもっと幅広く展開できると考えています。

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