2022-11-11

【習近平3期目をどう読む?】國分良成氏を直撃!「習近平にとって過去10年間は権力闘争。 ここから本当の『習近平時代』が始まることになる」

國分良成・前・防衛大学校長



「台湾有事」をどう捉える?

─ 中国は党規約に「台湾独立に断固反対する」と盛り込み、「台湾有事」が現実味を帯びてきているという見方も強まっています。 

 國分 この問題はウクライナ問題と関係しています。この問題が起きた後、中国としては国際社会の「中国叩き」が一転して「ロシア叩き」になったことを歓迎していたと伝えられています。また、チベットやウイグル、香港などの問題を上から圧力を加えて抑え込んでおり、海外が介入する事態を事前に排除しておいたことで安堵したと。 

 しかし、その後状況が変わりました。まず、ロシアが想定以上に弱かった。そして中国はウクライナがなぜ、あそこまでロシアを叩くことができたのかを徹底的に分析したわけですが、湾岸戦争以来の「新しい戦争」を見せつけられていると理解したようです。 

 ─ 新しい戦争とは? 

 國分 今回の戦争は瞬時に起きたものではありません。14年にロシアがクリミア半島を併合して以降、米軍や英国のインテリジェンスは訓練も含めて、相当にウクライナを支援したのです。それだけでなく、衛星情報やサイバーなどの先端技術をウクライナに提供しています。 

 ウクライナの背後には米国やNATO(北大西洋条約機構)がいて、徹底的な準備が進んでいたということです。 

 これを見た中国は、あまりにロシアが弱いので、対応が厳しくなっています。これを受けて、中国の中の「ロシアンスクール」は判断ミスをしたということで左遷されたと伝わっています。 

 また今回、ウクライナのロシア支配地域で強行された住民投票に対して、中国は怒ったようです。国際世論に押されて、台湾で「独立」か「統一」かの住民投票などが実施されたら中国は大変に困ります。こうした事態に陥ることを中国としては絶対に避けたいわけです。 

 中国は今回、米国の強さに驚愕し、いろいろな形で外交的に近づきました。ただ、米国も複雑で「中国脅威」の雰囲気は根強く、米議会の台湾への支援姿勢も強い。中国としても、米国との対応に揺れています。その上で、台湾有事という問題を考える必要があります。

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