2022-11-11

【政界】日本再生が必要な今、なぜ岸田政権は旧統一教会問題で躓くのか?

illustration by 山田 紳



「ガスも」与党が圧力

 総合経済対策の柱の一つ、高騰するエネルギー価格の負担軽減策でも政府は旧統一教会問題と同様に方針を転じた。ガス料金だ。 

 岸田は10月7日の参院本会議で「ガスはほとんどが長期契約で調達され、比較的、価格の安定性が高い。電気料金のような賦課金制度(再生可能エネルギーの買い取り費用の一部を消費者が負担する仕組み)もない。諸般の事情を総合的に勘案し、今後の家計、企業の負担の状況を見ながら対応していく」と答弁し、所信表明演説で「前例のない、思い切った対策を講じる」と強調した電気料金との温度差をにじませた。 

 岸田に質問したのは公明党代表の山口。与党にリップサービスしなかったのだから、政府がその時点でガス料金対策に慎重だったのは間違いない。 

 しかし、東京ガスによると、東京都内の標準家庭の11月分の料金は、前年同月比で3割増の6461円になる見込み。大手都市ガス会社には、政府が電気料金対策だけを重視することへの不満が募っていた。 

 業界の意向に意を強くした山口は11日、岸田と首相官邸で昼食をとりながら会談した際も、改めてガス料金対策を迫った。自民党も公明党と歩調を合わせ、3日後、山口と再会談した岸田は「都市ガスについても、電気とのバランスを勘案し、適切な措置を講じる」と記者団に語った。与党の粘り勝ちだ。 

 ただ、各論では課題が少なくない。ロシアによるウクライナ侵攻や円安で高騰した液化天然ガス(LNG)を仕入れている都市ガス大手に絞って支援すれば、LPガスを利用する地方の家庭との不公平感が生じかねないからだ。岸田は「(LPガスは)別の形で支援できないか絶えず考える」と検討の余地を残している。 

 電気料金に関しては、14日の自公党首会談で「料金請求システムを活用し、家庭が直接的かつ実感できる形」の負担軽減策を導入することで合意した。政府は来年1月以降、できるだけ早く実施する方針だ。 

 一方、導入済みのガソリンなどの燃油抑制策は、補助上限を調整しながら来年1月以降も継続する。12月までの延長ですでに3兆円超を投入しているが、財政負担はさらに膨らむ。これに電気、ガス料金対策が上乗せされるため、政府は今後、財政支出の妥当性を国会や国民に丁寧に説明する必要がある。 


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