2022-11-29

【政界】「聞く力」だけでなく「日本をこうする!」という政策や情報発信が求められる岸田首相

illustration by 山田 紳

 岸田は安倍政権で約4年7カ月、外相を務め、「外交の岸田」を自認する。それだけに、この秋の外交日程を世論の風向きを変えるきっかけにしたいとの思いがある。

 これまで新型コロナウイルスの世界規模の感染拡大で、海外の首脳と直接会談する機会はめっきり減っていた。そうした中で岸田は今年9月、米国ニューヨークを訪問し、日本の首相として3年ぶりに対面形式で国連総会の一般討論演説に臨んだ。「国葬」に参列するため来日した35カ国・1地域の首脳らと直接会談する「弔問外交」も展開した。

 そして、国会後半戦を前にして、11月8日からカンボジアで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会議、15~16日にインドネシアで開かれるG20首脳会議、18~19日にタイで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に相次いで出席する。

 G20首脳会議には米大統領のバイデンや、中国国家主席の習近平らも出席する。日本政府はそれぞれ2国間の直接首脳会談を行う方向で調整してきた。

 特に習との日中首脳会談を巡っては、今年8月の日中外相会談が米下院議長のペロシの台湾訪問を受けて中止されるなど、「G20での首脳会談も実現可能性が低くなった」(与党幹部)とされていた。

 日中首脳会談が実現した場合は、「中国には主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求める」と語ってきた岸田が、東・南シナ海での強引な現状変更や中国の人権問題、長期化するロシアのウクライナ侵略などで責任ある行動を習に直接求めることができるのか注目される。

 もっとも、これまでの外交では大きな見せ場はつくれていない。しかも、外交は国民の日常生活とはなかなか結び付かず、内閣支持率に直結しづらい分野といえる。日中首脳会談などが岸田の思惑通りに進まなければ、逆に支持離れを加速させる「諸刃の剣」となる。


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