2022-12-21

【激変する金融市場】大和証券グループ本社社長・中田誠司の 「資産管理型ビジネスモデルへの転換で」

中田誠司・大和証券グループ本社社長




高齢者向けの資産運用は?


 また、日本には、超高齢社会をどう生きるか─という社会課題がある。65歳以上の高齢者には、やはり高齢者対象の独自の商品設計が必要になってくると中田氏は語る。

「例えば70歳の人を相手に、いくらNISAが恒久化になったからといって、これから30年の計画で、NISAで運用しましょうというのはちょっと違うと思いますね」

 つまりは、高齢者のコアの資産である預貯金をより活用したいというニーズに対しては、それにふさわしい受け皿的な商品が必要だということ。

 先述のように、日本は世界1の超高齢社会。高齢化はハイスピードで進む。日本はすでに1970年、世界で初めて『高齢化社会』(65歳以上が全人口に占める比率が7%)になり、1995年に『高齢社会』(同14%)になった。

 そして2010年には同比率が23%に達し、『超高齢社会』(同21%)に突入。現在は28%と3割近い人たちが高齢者という社会。「日本に必要なのは、超高齢社会のニーズにどう的確に応えていくかということです」と中田氏が次のように続ける。

「2000兆円の個人金融資産のうち、1100兆円が預貯金で眠っている。この構図が10年後、20年後も続く。この金融資産の7割近くを60歳以上が保有されるという構図はこれからも変わらないんですよ」

 若い世代には、30年、40年の長期プランで資産形成をしてもらい、高齢者にはゼロ金利で利息を生まない状況で、少しでも運用でプラスアルファの利回りを追求する─という両面で仕事をしていく考えだ。

 とにかく、世界は大激変の様相。「世界の経済、政治が目まぐるしく変わっていく中で、自分で判断していろいろやり取りするのは難しい。不可能です」

 最近は、証券会社や信託銀行などに資産運用を丸ごと任せる『ファンドラップ』も存在感を増す。顧客も、プロに任せて一任契約したほうがメリットを得やすいということである。

 顧客のライフプランに沿って、最適な運用スタイルを個別設計で提案する商品。国際分散投資などでリスクを抑えるなど、中長期視点での資産運用を図るというもの。

 リスクを抑えるという意味では、ファンドラップに定期預金を加えるなど、様々な提案、商品設計ができるのが特徴。

「弊社では500通り位ある。ファンドラッププレミアムというのもあり、いろいろなニーズに応えて設計できます」

 リスクのある時代に、リスクをどう抑え、顧客のニーズにそう応えていくか。ここは証券会社としても真価が問われるところである。

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