2022-12-16

【自治体病院同士の合併】日本海総合病院・島貫隆夫病院長「病院経営が黒字になって新しい医療機器も買える。スタッフのやる気が一気に高まりました」

自治体病院同士の合併の先駆けとして有名な日本海総合病院。同病院は2008年に山形県の旧市立病院が旧県立病院を統合する形で発足した独立行政法人「山形県・酒田市病院機構」の傘下に入る形。再編・統合1年目には黒字化し、さらには地域医療情報ネットワークを構築し、地域の医療機関で医師記録も共有。県立病院出身で院長の島貫隆夫氏は「黒字になると、こんなに違うんだな」と振り返る。病院が連携するための苦労とその成果を赤裸々に語る。

【医療界にも非営利法人のホールディングカンパニー制が登場】山形県・酒田市病院機構・栗谷義樹理事長に直撃!

統合・再編した年から黒字計上


 ─ コロナ禍を機に医療業界では病院連携が求められる時代となりました。日本海総合病院が参加する山形県・酒田市病院機構はその先達でもあります。2つの病院の統合・再編から出発して15年近くになりますね。

 島貫 そうですね。当院は2008年山形県酒田市の「旧市立酒田病院」と県立の「旧日本海病院」が再編統合し、新たに独立行政法人「山形県・酒田市病院機構」として発足しました。私は理事長の栗谷義樹とは違う旧県立病院の出身です。

 私が働いていた県立病院の経営はよくありませんでしたし、患者様の数も少なくなってきていました。ですから当時から、かなり危機感は持っていました。そんな中で統合を先導したのが栗谷です。栗谷のお陰で今の健全な病院運営につながりました。

 実は統合・再編する前から栗谷の話は伺っていました。「何とかこの地域の医療を継続できるようなものにつくりかえないといけない」という危機感ですね。

 そんな話を聞いていたものですから、栗谷から統合・再編の構想が出てきたときは、その考えに即座に賛同しました。そして、統合・再編後も何とか二人三脚で地域医療の発展に力を尽くすことができています。

 ─ 医療提供体制から見た場合に、統合・再編で効果が発揮されたことは何ですか。

 島貫 統合・再編によって急性期機能を日本海総合病院へ集約することになりました。急性期病院にとっては様々な医療提供体制を確立することが割とやりやすくなったのです。急性期と回復期との役割分担ができるようになったことで余裕が生まれ、様々な取り組みができるようになりました。

 統合・再編したその年から、僅かではありますけれども、黒字を計上することができました。その後は割と経営は安定してこられたのかなと。そういうことがバックグラウンドにあるものですから、急性期病院では様々な医療機器などを購入することができたわけです。その前の県立病院時代は機械1つ買ってもらうのも大変でしたからね。

 ─ 県の承認がいると。

 島貫 もちろんです。県の承認は必要ですし、予算化していないと駄目だとか、いろいろな理由がありました。しかし統合・再編を経て利益が出るようになり、その後も収益を上げて、ある程度の余裕が出てきたときには状況は変わっていました。

「栗谷先生、新しい医療機器が欲しいのですが」と言うと、買ってくれるわけです(笑)。手術台と心・血管X線撮影装置を組み合わせたハイブリッド手術室などは自分たちの予算で購入することができるようになりましたし、研修医が来るための環境も整えることができました。

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