2022-12-16

【自治体病院同士の合併】日本海総合病院・島貫隆夫病院長「病院経営が黒字になって新しい医療機器も買える。スタッフのやる気が一気に高まりました」

 ─ 受け入れるための施設と言うことですか?

 島貫 ええ。研修医専用の住居であるレジデントハウスを建てたのです。レジデントハウスができて住環境が整えば庄内地域以外からも研修医が集まりやすくなりますからね。

 私自身、こう実感しました。「なるほど、黒字になると、こんなに違うんだな。自己資本を持つということはすごいことなんだな」と(笑)。それまで勤務医として働いていたときには感じられなかった感覚でした。それを初めて実感したのが栗谷と一緒になってからですね。

 ─ 医療の世界で自己資本という言葉を使うこと自体が少ないように思います。

 島貫 ええ。確かにあまりないでしょうね。私たちの県立病院時代は、そんなことを考えたことすらありませんし、「こういうものが欲しいんですけれども」と相談すると、「あなたの病院は働きが悪いのに何を言っているんだ」と言い返されていました。しかし、経営という感覚を持つことで、そういった環境も一気に様変わりすると。素晴らしい経験をしましたね。

 それから栗谷の功績として特筆すべきことは、統合・再編するときにドクターの数を減らさなかったことです。通常なら2病院を統合・再編すると、ドクターの数も半分くらいに減らしてもいいのではないかというケースが多いと思うのですが、それをしなかったのです。

 実はこのとき栗谷をサポートしたのが、当時の山形大学医学部附属病院の医学部長だった嘉山孝正先生でした。ドクターの数は減らさないで病院運営を行うという栗谷の考え方をサポートしてくれたのです。その意味では、医師の資源が1+1=2以上になったというところが大きいかなと思います。

 ─ 病院経営が黒字になり、人員削減もなければ、医師や職員にもやる気が出てきますね。

 島貫 もちろんです。そもそも2つの病院では医師不足が深刻でしたから、もともと人手が足りていたわけではありませんでした。ドクターや医療資源が多かったわけではありません。もちろん、統合・再編で人員が減った部門はありますけれども、研修医が増えるなど、次第に人が集まってきました。統合・再編当時は100人足らずだったのが、今は150~160人まで増えています。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事