2023-02-10

東レ社長・日覺昭廣氏に直撃!「繊維も樹脂も『ナノレベル』でコントロールする技術開発で、新領域開拓を!」

日覺昭廣・東レ社長



中国との関係をどう考えるか?

 ─ 世界の市場である中国は、経済的に難しい状況にありますが、どう見ていますか。

 日覺 米中間は対立していますが、そこにあるのはお互いのトップ、バイデン大統領と習近平・国家主席のメンツだと思っています。中国国内も権力で押さえようとしている。

 しかし、中国自体、さらには中国の地方政府なども、アメリカや日本とのつながりがなくなって孤立してしまったら、中国自身がおかしくなってしまいます。それは私はあり得ないと思っています。東レ自体も、中国事業は増収増益で、現地のメンバーは頑張っています。

 ─ 世界的に「経済安全保障」という概念が大きく注目されるようになっていますが。

 日覺 経済安全保障については、しっかり気をつけておかなければいけないと思います。ただ、私は時間の問題だと思うんです。いくら、経済安全保障で気をつけていても、実際には多くの中国人はアメリカに行っているわけです。ですから10年も経てば情報が漏れることもあるでしょう。

 問題は、中国の「国家資本主義」と、アメリカを始めとする西側諸国の資本主義との間で、どのようにコンプロマイズ(compromise=歩み寄り)をするのか、私はそこが非常に大事だと思っています。

 今は、かつての米ソ対立の時代とは違います。アメリカなど世界は中国抜きに成り立ちませんし、中国もアメリカなど世界抜きには成り立たないからです。

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