大手企業などがバックアップする仕組みを
─ 今後、どのような対応をしていくべきなのでしょうか。
福島 例えば、政府は「異次元の少子化対策」として、今後3年間で加速して取り組む政策のたたき台に、出産費用への保険適用を検討することを盛り込みました。今は出産が自由診療のため、分娩費用が60万~100万円と高額です。保険適用になれば、その費用負担は和らぐのではないでしょうか。
私が12~13年前に韓国の子育て政策を視察しに行ったとき、産後ケア事業を展開している経営者から話を聞きました。彼らの中で共通していたのは「日本に進出したい」ということでした。日本は分娩費用が高く、産後ケアに充てる余裕がないということも既に調査していました。
─ 外資系企業の参入も増えてくるということでしょうか。
福島 ええ。既に千葉県の習志野や市川などでも事例が出てきています。中でもヒットしているのが産後ケアホテル「マミーキャンプ」です。母体の健康状態チェックや乳児の健康状態チェック、育児相談、授乳指導など、サービスが充実しています。
─ 日本企業も子育ての分野での工夫が求められますね。年間の出生数が80万人を割り込みました。今後の子育て政策の方向性はどうあるべきですか。
福島 新たに「こども家庭庁」が設立されましたが、同庁の子育て政策の目玉になるのが産前産後ケアになるのではないでしょうか。時代も変わり、子育てに対する新しい発想をする若い世代が増えてきました。既存の企業にないアイデアを若手の人たちが持ち出すことができるようになれば変わると思います。
そのためには、こういった若い人たちを大手企業や投資家がバックアップするような仕組みが必要です。志の高い企業の経営者や投資家と子育て支援に携わる人たちとでは、なかなか接点がありません。その意味では、企業人の方々に仲介役になっていただきたいと思いますね。