2023-06-02

アイリスオーヤマ・大山健太郎の国内回帰論「国内にはまだ耕す場所がいっぱいある!」

大山健太郎・アイリスオーヤマ会長

「当社は国内回帰に力を入れていきます」――。海外に18工場、国内18工場と、これまで海外生産を増やしてきたアイリスオーヤマ。ここへ来て、会長の大山健太郎氏は「国内回帰」を打ち出し、「米と水」で国内市場掘り起こしに動き始めた。米は、東日本大震災で被害を受けた東北の復興にもつながるとして、福島、宮城県産を中心に東北米を使用。1パック100円強の“パックご飯”が、「電子レンジで1分半ですぐ食べられる」と好評。農業参入10年でさらなる需要の掘り起こしに動く。飲料水は富士山の麓で採取、アイリスオーヤマの国内市場掘り起こし策とは――。

『米と水』の2つは日本国内で調達できる



「アイリスグループにとってみれば、グローバルで言うと、米国には4工場ありますが、これは順調に成長しているし、強化したい。中国は足踏みの状態。(チャイナプラスワンといわれる)その他の国は成長に乗っていると言っても、母数が小さいですからね。当社は国内回帰に力を入れていきます」

 コロナ禍は峠を越えたにしても、ウクライナ危機は続き、米中対立、さらには昨今の金融波乱と、先行き、見通し難の状況。その中で、国内回帰を語るのはアイリスオーヤマ会長・大山健太郎氏。

 アイリスグループが今、商品開発で注力する代表が米(こめ)と水の2つ。なぜ、今、『米と水』なのか?

「日本が、海外から資源を輸入しなくても、国内でまかなえるのが米と水です。日本にあるものじゃないですか。水にしても、世界一おいしい水です」

 コロナ禍は世界の人々の生き方・働き方を変え、ウクライナ危機は小麦などの穀物需要をひっ迫させ、相場も高騰。今後、何か不測の事態や危機的状況が起きた場合、その地域の生活に不可欠なものは何か?

「東日本大震災で一番困ったのは飲み水なんですよ。コンビニにいくらあろうが、一時間で無くなりますからね。そういうことで、われわれは3年前から水事業をスタートした。おかげさまで順調で、供給マニュアルに従って、どんどん増設しています」と大山氏。

 2021年、同社は富士山の麓の富士小山工場(静岡県小山町)で飲料水の生産を開始。近く同県裾野市でも飲料水の生産を始める計画。また、電子レンジで〝チンして1分半で食べられる〟と人気が出始めた『パックご飯』の生産強化に乗り出した理由とは――。

本誌主幹 村田博文

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事