2023-06-02

アイリスオーヤマ・大山健太郎の国内回帰論「国内にはまだ耕す場所がいっぱいある!」

大山健太郎・アイリスオーヤマ会長


環境激変に成長


 大山氏は1945年(昭和20年)7月生まれの77歳。大阪府出身。府立布施高校3年時に、プラスチック加工を営む父親がガンを患い、家業(大山ブロー工業所)を受け継いだ。

 8人兄弟の長男として、一家と従業員の生計を託され、本人は進学を断念し、19歳で社長を引き受けた。以来58年余。この間、2018年に長男・晃弘氏に社長ポストを譲り、会長に就任したという経緯である。

 東北との縁は、当時、農業用や漁業用のプラスチック加工品を製造販売し、東北がその主力市場であったことから始まる。

 1972年、仙台工場(現・大河原工場)を竣工。1970年代、2度にわたる石油危機時は20代半ばから30代であった。原料高・製品安の苦境に見舞われるが、ガーデン・園芸用品、ペット用品、収納用品と、新領域でアイデア商品を開発。

 1990年代初めのバブル崩壊から、日本は〝失われた30年〟の低迷期に入る。同社は91年にアイリスオーヤマに社名を変更。大手家電・電機メーカーが経営不振に陥る中、それら大手メーカーの技術者をスカウトし、消費者目線に立った生活家電や生活用品を次々と世に送り出してきた。

『ユニクロ』のファーストリテイリングや家具・生活用品のニトリホールディングスと同様、同社は〝失われた30年〟に成長してきた。3社に共通するのは、消費者を惹きつける商品の企画力・開発力である。

 予測不可能な事が起こる時代の転換期にあって、「今、ちょっと世の中が暗くなっているので、しっかりとビジョンをもって、明るく楽しく、そして積極的に行動しようと、社員には呼びかけています」と大山氏。

 緊張感の漂う中での企業経営のカジ取りである。

本誌主幹 村田博文

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