2024-02-06

自由民主党税制調査会長・宮澤洋一「経済人は守りに入らず、常に新しいことに挑戦を。同じことをやっていては企業は30年しかもたない」

宮澤洋一・自由民主党税制調査会長




大企業、中小企業の「賃上げ」の現状は?

 ─ 日本再生に向けては民間企業の投資が重要ですが、投資をした企業への優遇をどう考えますか。

 宮澤 日本では15年度以降、段階的に法人税率を引き下げ、実効税率は30%を切る水準まで落とし、法人税率自体も4~5%下げてきています。それは法人税率を下げることで投資が増え、給与も増やしてもらえるだろうと期待したからです。ただ、残念ながら、我々の期待になかなか応えていただけなかったのが現実でした。

 その意味で、先程申し上げたように、法人税の引き下げ競争も収まってきた中で、やはり一般的な税率は今後、少し上げてもいいのではないかと。ただし、おっしゃるように、成長に向けた投資、特に国内投資をしていただく企業を応援する形は考えていかなければいけないと思っています。

 ─ 今、ようやく企業は賃上げに動くところが増えてきました。

 宮澤 そうですね。23年の春闘もそこそこの数字でしたし、24年もそれなりの数字が見込まれます。これまでは欧米主要国との給与格差があまりにも大きくなり過ぎていました。物価自体もそうですが、物価を上回って給与が上がり、「安い日本」と言われない状況をどうつくっていくかが大事だと思います。

 ─ 大企業はかなり給与を上げてきましたが、中小企業はなかなか賃上げができないところも多いのが現状です。

 宮澤 賃上げ税制に関連して言えば、中小企業は赤字のところも多く、その中で賃上げをしても別段、税の恩恵がありません。そこで最大5年間、控除の繰越を延長する措置を取りました。こうした中で前向きな経営を積極的にやっていただくことが、今後の日本の成長の原動力ではないでしょうか。

 ─ その意味では再編、M&A(企業の合併・買収)も考えられますね。

 宮澤 ええ。中小企業がM&Aを実行すると恩典が来る税制はすでにつくってありましたが、それを2社、3社と行ったところに、さらなる恩典が来たり、事業承継に向けてM&Aを活用し、効率化を図っていただいた際にも恩典が来るような体制になっています。

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