2024-02-06

自由民主党税制調査会長・宮澤洋一「経済人は守りに入らず、常に新しいことに挑戦を。同じことをやっていては企業は30年しかもたない」

宮澤洋一・自由民主党税制調査会長




人口減、高齢化の中、いかに成長を図るか?

 ─ 日本は人口減、高齢化の中で経済成長をしなければならないという難しい立ち位置ですが、この問題をどう考えますか。

 宮澤 経済成長に向けては、労働人口が増えるのが大変大事なことです。国内的には女性の社会参加率をさらに高めると同時に、60歳以上の方に労働に参加していただく余地は、まだまだあります。加えて、外国人材の活用も大変大きな要素です。外国の方々にいかに来ていただくかという時には賃金を上げていくのも大事なことではないでしょうか。

 ─ 外国人材を呼び込むには国としての魅力を高めることも大事になりますね。

 宮澤 ええ。これだけ教育水準が高いところで平準化している国は世界にほとんどありません。また、安全という意味でも魅力的ですし、外国人観光客が戻ってきていることでもわかるように、文化や食にも高い魅力があります。しかも、東京に代表されるような公共交通ネットワークを持っている国は、世界に1つもありません。

 ─ 今、外国人観光客は食について「美味しい」と同時に「安い」と言ってくれますが、もっと対価は求めていく必要がありますね。

 宮澤 そう思います。先日、ある酒類メーカーの社長とご一緒した時に、私の方から「働いている方の給与を倍にして、儲かる値段で商品を売って下さい」とお伝えしました。

 ─ その方は何と言っていましたか?

 宮澤 頑張ってみますとおっっしゃっていました(笑)。ただ、それだけ価値のあるものをつくっておられることは間違いありません。

 ─ 東京の都市としての魅力は高いわけですが、一方で「東京一極集中」の問題も言われます。この問題をどう考えますか。

 宮澤 これは本当に大事なことだと思っています。ただ結局、明治維新以来、もっと言えば江戸時代から、日本人は数百年かけて東京、大阪に集まってきたわけですから一朝一夕でできると思ってはいけない話です。

 それこそ100年かけて、一極集中ではない世界をもう一度つくろうという話でなければいけません。いくら各自治体に1億円ずつ配っても、人は戻りはしないのです。

 やはり、お金の話というよりは制度の話として、常に一極集中を解消することを心がける政策を行うことで、10年経ち、20年経って、少しずつ変わってきたということになるのではないかと。5年で地方に人が移るということはあり得ません。

 ─ 時間をかけた取り組みが必要だと。

 宮澤 そうです。ただ、高齢化に伴って年金を受給される方が増えているというのは、実はこの問題を考える上で大事な要素です。

 サラリーマンや公務員の方々が全国で同じ仕事をしていたとしても、東京は物価が高いので給与も高いことが多い。しかし、年金は全国一律なんです。

 ─ ということは、東京で年金で生活している方は、ある意味で金銭的には損をしていると言える?

 宮澤 ええ。本来、合理的に動くのであれば、東京より物価の安い地方で生活した方が正しいとも言えるわけです。そうした選択をしていただけるような環境をどうつくっていくかが課題です。ただ、これも焦ってやってしまっては実現しませんから、時間をかけて取り組む必要があります。

 ─ 様々な課題はありますが、日本再生の可能性はあるということですね。

 宮澤 間違いなく、再生の可能性はあります。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事