2024-03-05

三井住友FG新社長・中島達の「課題解決型ビジネス」「国内基盤再強化、そしてアジアで勝負!」

中島達・三井住友フィナンシャルグループ社長




アジア、アメリカでどうやって成長を実現?

 こうした国内事業の再強化と同時に、成長は海外市場に求めていく。重点エリアは「アジア」と「アメリカ」。

 特にアジアではこれまで、「アジアに第2、第3の三井住友銀行をつくる」をスローガンとする「マルチフランチャイズ戦略」を推進してきた。対象国はインドネシア、インド、ベトナム、フィリピン。

 この3年ほどで、この4カ国に約5000億円の投資を進めてきた。これによって「各国における発展の基礎はできた」と中島氏。今後は成長を目指すフェーズに移行するが、その中では他社との提携や買収を通じて成長する「インオーガニック戦略」も視野に入れる。

 4カ国の攻略段階にはもちろん差はある。例えばインドネシアは10年の月日をかけて、フルラインの金融サービスを整えつつある一方、インドでは内外の大企業取引に強い現地法人、21年に買収した現地の大手ノンバンクを持つが、個人の預金取引や中堅・中小企業融資といった機能はなく、中島氏も「まだまだ足りないものがある」と話す。この不足を埋める投資を今後、進めていく考え。

 大市場・アメリカの開拓も課題。三井住友FGは21年に米独立系証券会社のジェフリーズ・ファイナンシャル・グループと提携、23年には株式を追加取得し、戦略的提携を拡大した。足元で出資比率は9%だが、今後最大15%まで拡大する方針。

 その後、債券や株式の引き受けで案件を積み重ねており、「我々が想定していた以上に、案件を獲得できている」と手応えを語る。融資や海外大企業とのつながりという強みを持ちながら、投資銀行業務に弱かった三井住友FGと、投資銀行業務の経験、人材に強みはありながら、案件に融資を付けられなかったジェフリーズという組み合わせで補完関係ができている。

 この組み合わせで欧州、アジアでの事業を展開し、その成果を見た上でアメリカでの次なる打ち手を検討する。

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