経営改善につなげていく様々なサービスを提供
―― コロナ禍で中堅・中小企業の経営には大きな打撃となっているのですが、この辺の中小企業の現状を是枝さんはどのように捉えていますか。
是枝 政府は持続化給付金や時短要請に応じた飲食店への協力金など、新型コロナウイルス感染症に関連した様々な経済対策を打ち出しています。
ただ、これはすでに給付金が配られているところと配られていないところがあって、企業によっても申請しているところ、申請していないところがバラバラです。政府や官僚を批判するわけではありませんが、やはりこれはオペレーションに問題があったのだろうと思います。
こうした手立てを打つということは必要なことだと思いますが、財政投融資などを加えた財政支出は40兆円になる。これらは企業が借り入れしやすいようにするために政策的な保護をしてきた方と、いわゆるバラマキをした方の2つの意味合いがあると思うんですね。
資金を借り入れたということは、タダであげるお金とは違うわけで、そろそろ支払い期間を迎えるようになるわけですから、こうしたファイナンスの問題がこれからまたクローズアップされてくるだろうと思います。
―― あと1年くらいはある程度の財政措置もやむを得ない面があるでしょうね。
是枝 ええ。その意味では、会計事務所がしっかり顧客企業のお金の管理をしてあげることがとても重要なことなのではないかと思います。
もう一つは、すでにそういう形で貸し出しをしているので、追加融資がなかなかできないという問題もあります。ですから、必ずしも銀行だけではなく、ノンバンクの力も借りたりしながら社会全体で回復を目指していく他ないだろうと思います。
やはり、大事なことはスピード感をもって対応していくことですから、DX(デジタルトランスフォーメーション)というのはここでもカギになります。
―― 日本経済を活性化するためには、中小企業の生産性向上がカギですから、まだまだやるべきことはあるということですね。
是枝 やはり、中小企業は定量的なデータというものが無かったりするので、自分たちの業界の中でどこのポジションにいて、強いものは何なのかとか、弱いものが何なのかというのが、分からない企業も多いと思うんですよ。ですから、そういったところをしっかり分かるような指標を出して、経営改善につなげていくサービスを提供していきたいですね。