2021-08-06

『DX』で中小企業の生産性向上をどう進めていくか? 答える人・ミロク情報サービス社長 是枝 周樹




会計事務所を町のCFOに



 ―― デジタル化、DX化といってもやることは多いと思うんですが、企業はどんなところから手を付けていけばいいと考えますか。

 是枝 やらなければならないことは本当にたくさんあるんですが、まずは経済の全体観をきちんと捉えなければならない。例えば、アフターコロナの商取引はどうなるのか? そこの決済はどうなるのかということを考えなければならない。

 Eコマース(電子商取引)だとアマゾンなど、いろいろな企業が参入していますが、中小企業間の取引をいかにDX化していくかということも考えなければなりません。

 これをもう少し深く考えると、商取引を起こすまでの行為と、発生させる商談をどうするべきか? それから最終的にはおのおのの中小企業の情報発信力ですね。製品やサービスのメリットをきちんと発信していかないといけない。企業を強くするというのは、こうしたトータルな戦略が求められますので、どこから手を付けるというよりは、全てをやる必要がある。

 ―― そうなると、ビジネスのあり方そのものがガラリと変わってくる。

 是枝 仰る通りです。われわれが考えているDXというのは、業務システムの刷新を含めて、経営のあり方を改善していくことです。

 ―― ということは、中小企業はもちろん、会計事務所もそれに合わせた経営が求められるようになりますね。

 是枝 ええ。これからの会計事務所に必要なことは、顧問先企業の体力が厳しいのであれば、地域の金融機関とも連携してローンを組むとか、新たな身の丈に合った財務戦略を一緒につくっていく必要があると思います。

 つまり、会計事務所はこれから町のCFO(最高財務責任者=Chief Financial Officer)にならなければならない。会計事務所というのは当然、顧問先企業の財務状況を理解していますので、顧問先企業のCFOとしての役割を果たせるかどうかが、会計事務所にとっても非常に大事になってくると思います。

 ―― 多くの中小企業ではCFOを置く余裕もないので、会計事務所の方にその役割を担ってもらえると有難いですね。

 是枝 そうなんです。ですから、会計事務所がCFOの役割を担い、財務戦略、ファイナンス戦略を支援できれば、大きな付加価値を生むことができる。そして、顧問先の企業が安心して本業に打ち込めるような環境をつくっていくことが、これからの会計事務所には求められるのだと思います。

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