2022-02-16

【政界】安全運転の岸田政権に初めての試練 新型コロナ対策誤れば下り坂の危機

イラスト・山田紳



「二階さんなら…」

 与党間の足並みの乱れは、それが政治的パフォーマンスだったとしてもメディアの注目を集め、おもしろおかしく増幅されて伝わるのが常だ。その意味で、最近の自民、公明両党の関係に首をかしげるのはこのベテラン議員だけではない。

 18歳以下を対象にした10万円相当の給付措置は、現金5万円とクーポン5万円分を組み合わせた当初の計画が自治体などに不評で、政府は全額現金も認める方針に転じた。クーポンはバラマキ批判を恐れた自民党が公明党に飲ませた案だっただけに、両党にとって後味の悪い結末になった。相互推薦問題はそれに続く失態だ。

 国会会期中、両党の幹事長と国対委員長がさまざまな政治課題について意見交換する通称「2幹2国」という会合がある。安倍、菅政権時代には毎週のように開かれていたが、岸田政権発足後、回数が減った。「案件があるときだけでいい」という茂木の意向だ。合理主義的な茂木らしいと言えばそれまでだが、公明党幹部は「何もなくても顔を合わせることを重視した二階(俊博元幹事長)さんとは全然タイプが違う」と心配する。

 公明党国対委員長の佐藤茂樹は1月17日の通常国会召集前、自民党に定例化を提案した。しかし、その場で決まったのは月内の19日と26日の開催だけ。もともと岸田は公明党とのパイプの細さが懸念されており、相互推薦問題などの背景に互いのコミュニケーション不足があるのは間違いない。

 それでも、秋の沖縄県知事選につながる「選挙イヤー」の初戦として岸田政権が重視していた同県名護市長選(1月23日投開票)では、自公両党が推薦した現職の渡具知武豊が、立憲民主党や共産党などが推した新人候補を約5000票の大差で破り、再選した。

 渡具知陣営は前回選挙と同様、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市への移設に賛否を明言しない戦術をとり、米軍再編交付金による保育料、学校給食費、子供医療費の無償化などの実績をアピールした。政府は辺野古沿岸の埋め立てを着々と進める方針だ。

 公明党からは「相互推薦問題がこじれたら名護市長選に影響する」という声が出ていたが、自民党へのブラフに過ぎなかったようだ。一方、自民党幹部は「負けたら、公明党とぎくしゃくしたのが原因と新聞に書かれるところだった」と勝利に胸をなで下ろした。

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