選挙戦の構図に変化 一方、岸田は参院選の自民党候補の推薦をためらう公明党との関係を打開できないでいる。
前回の参院選で自民、公明両党の候補が接戦を演じた兵庫選挙区(改選数3)に端を発した自公の相互推薦問題は、全国で32ある改選数1人区で公明党が自民党候補を推薦しないことを検討する事態に発展。公明党代表の山口那津男は2月1日の記者会見で「相互推薦はない前提で今、取り組んでいる」と明言した。
「どうも公明党は本気らしい」と語るのは自民党幹部だ。15年成立の安全保障関連法について、「平和の党」を掲げる公明党は慎重な姿勢だったが、自民党との交渉で妥協し最終的に賛成した。自民党に対する公明党の位置づけは「下駄の雪」と称され、自民党内では「いろいろな注文をつけながらも与党でいたいがために最後は自民党についてくる」との見方が広まっていた。しかし、今回は違うというわけだ。
公明党の「不退転の決意」を後押しするように、同党の支持母体である創価学会は1月27日、選挙で支援するかどうかの基準について「党派を問わず見極めた上で、判断していく」との方針を示した。こうした方針の発表は1994年以来で、極めて異例だった。過去2回の参院選のように全国的に一括して自民党候補を推薦するのではなく「候補の人物本位」で判断することを強調した形となった。
自民党内には「公明党の推薦がなければ選挙を戦えないなどという候補は選挙に出なければいい」(重鎮)との勇ましい声もある一方、「公明党の支援がなければ1人区で自民党が勝利するのは至難の業だ。自公の政権陥落もあり得る極めて危険な状態だ」と漏らす議員もいる。
自民党選対委員長の遠藤利明は公明党への説得を試みているが、岸田や自民党幹事長の茂木敏充はもともと公明党との関係が希薄で、「首相も幹事長も相互推薦なしでもやむを得ないと思っている」(首相周辺)という。
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