2022-02-24

【政界】「聞く力」で第6波にも対応した岸田政権の留意点

イラスト・山田紳



野党は依然混迷

 参院選を巡る構図の変化は野党側でも起きている。立憲民主党と国民民主党の支援団体である連合は、かねてから共産党を含む野党共闘を批判してきた。そして1月下旬、参院選の基本方針案として「目的が大きく異なる政党や団体などと連携・協力する候補者は推薦しない」とした。事実上の「共産排除」だ。

 連合は過去2回の参院選で野党共闘を後押しし、野党は32の1人区すべてで統一候補を擁立した。だが、前々回の2016年は11勝、19年の前回は1-勝にとどまった。昨年10月の衆院選でも選挙区の候補者一本化を進めたが、立民は議席を減らした。

 それでも立民は衆院選の総括で共産党を名指しした上での「反省」を明示しなかった。連合会長の芳野友子は2月1日の報道各社とのインタビューで、この点について「立民と共産党との関係が明確になっていない」と不満を表明した。

 過去の労働運動での対立から反共の立場をとる連合の「最後通告」がこたえたのか、立民代表の泉健太は共産党との参院選での連携を「白紙」にすると表明した。

 黙っていられないのが共産党だ。1人区の候補者一本化に向けた立民との協議は進まず、委員長の志位和夫は3日の記者会見で「(1人区)すべてに候補者を立てる権利を共産党は持っている」と立民を牽制した。

 野党の混迷は参院選に勝利して長期政権を築きたい岸田に有利に働く。自民党重鎮は「岸田さんはつくづく運がいいね」と語った。(敬称略)

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