2022-03-08

【オリックスってどんな会社?】オリックス社長・井上亮の変化対応論「多様なポートフォリオ戦略をいかに作るか」

井上亮・オリックス社長兼グループCEO

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米FRB・金利引き上げの世界経済への影響は?


 今、世界経済の流れが大きく変わろうとしている。変動の震源地となっているのが、米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)。

 米FRBが近く金利引き上げに動くということで、これまでの世界的な超金融緩和状態が一変しそうだ。FRBが通貨供給量を絞るということで、まず株式市場がこれに反応し、米ウォール街関係者も身構える。

 ニューヨーク株式相場も下落傾向で、東京市場など他の市場も同じ傾向を示す。昨年末、FRBが金利引き上げの方向を明確にした時に、「手持ちの株はほとんど売って、現金化した」という投資家もいる。

 株式市場の相場下落だけではない。米ドルへの需要が高まり、他通貨、ことに発展途上国通貨が売られ、途上国からの資金流出が懸念される。

 自国通貨の防衛のため、各国とも金利引き上げを図る。そのことは経済縮小の方向に働く。

 今、資源エネルギーは供給不足に陥り、価格高騰を招いている。インフレを抑制しようという要因もあって、各国とも政策金利引き上げに向かうのだが、これは需要抑制になり、景況を弱くすることにつながる。オリックスも本業が金融サービスであるだけに、米FRBの動向に無関心ではいられない。

 ただ、資金調達ということでいえば、ドル投資はドル、ユーロ投資はユーロと、現地通貨を調達して実行している。「一部ヘッジをかけるものもありますが、基本はローカルカレンシーで資金調達して、ローカルカレンシーで投資する。そういう形でやっています」と井上氏。基本的に為替の変動でビジネスにプラスマイナスの影響が出ることは避けているという。

 日本は年初から円安傾向が強まっている。適正な為替水準とは、どのレベルなのか?「円安は外国人からすると投資しやすい。円安が進むとディスカウントで日本のモノが買えるわけですからね。それで買った後、売ろうとする時に、アメリカ政府に働きかけて、円高志向に持っていけば、それだけで利益が出るわけですからね」

 井上氏は〝日本が安い〟状況の今、為替は政治マターになりがちで注意が必要と語る。「米政府は当面、従来のように円安に対する締め付けに踏み出しづらい状況にあります。ただ、状況が変われば、円安イコール悪ということで、円高に持っていく可能性は十分にあります」と米政府の動向を注意深く見守る井上氏である。

本誌主幹・村田博文

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