2022-03-08

【オリックスってどんな会社?】オリックス社長・井上亮の変化対応論「多様なポートフォリオ戦略をいかに作るか」

井上亮・オリックス社長兼グループCEO

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脱炭素の実行は?


 これからの経営を考える上で、2050年にCO2(二酸化炭素)の排出を実質ゼロにする─というカーボンニュートラル政策との整合性は不可欠。

 その中間過程で2030年のCO2排出は2013年比で『46%減』を目標にする考えを日本政府は示した。これに対して、鉄鋼業界あたりからは、「これでも厳しい」との声が聞かれる。

 オリックスの場合はどうか?「当社は全体で年間130万トンのCO2を排出しています。そのうちの94万トンが2つの火力発電所から出るもの。相馬(福島県)と響灘(福岡県)にある発電所ですが、このエネルギー源を切り換えれば、削減することができます」

 この2つの火力発電所は木製チップと石炭の混合で発電している。木質チップ4対石炭6の混燃方式で、2038年までの運転ということで経済産業省の承認を得て運営してきた。

 しかし、前出のカーボンニュートラル政策の登場で、同社は発電所のエネルギー源を転換する方向で検討中。「相馬と響灘は水素に切り換えるか検討中ですが、敷地的にどのエネルギー源がいいのかを見極める必要がありますから、この2カ所については社内外の協議が必要です」

 ESG(環境、社会、統治)の観点から、「2030年までにエネルギー源を切り換えていこう」という井上氏の考えだ。

「あと不動産のオペレーションで約8万トン位のCO2を出しています。そこはどんどん再生可能エネルギーを使ったり、太陽光を使ったりして、オペレーションを変えていきます。LNG(液化天然ガス)に全部変えると、それで随分下がります。そんなに心配していません」

ESG関連の事業は徹底して実行


 井上氏は年初、『ESG関連の重要課題』と『7つの重要目標』の達成を新しい経営目標に掲げると公表した。

 まず、『ESG関連の重要課題では、気候変動リスク軽減のための重点分野・課題として、GHG=地球温暖化ガス排出削減目標を設定するなどの6項目を掲げる。

 そして人権問題を含む社会的リスク軽減のための重点分野・課題(新たな社会関連リスク発生を排除するため、サステナブル投融資ポリシーと行動指針および管理体制の強化を継続する―などの3項目)。さらに透明性、遵法性、誠実性を基本とするガバナンス強化のための重点分野・課題と続く。

 こうした重要課題を達成するための重点目標として、まず『2023年6月の株主総会までに、取締役会の社外取締役比率を過半数とする(現在、社内5対社外6)』を挙げる。

 また2030年3月期までに、女性取締役の比率を30%以上とし、グループの女性管理職比率も30%以上とする。

 さらに2030年3月期までに、グループのGHG(CO2)排出量を2020年度対比で50%減にするといった目標。

 GHG(CO2)排出産業に対する投融資残高を2020年度比で50%削減、そして2040年3月期までに排出産業に対する「投融資残高をゼロにする」と明記。

 注目されるのは、自分たちの達成目標だけでなく、取引先を巻き込んでの目標を掲げていることだ。

本誌主幹・村田博文

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