2022-03-14

【脱炭素の時代】5年で売上げ3倍 東海カーボンは、なぜ成長しているのか?

長坂一・東海カーボン社長


需要はあるが、利益が出ない
黒鉛電極事業


「社長になる前から、自分なりにアメリカに生産拠点を持ちたいという考えを持っていた」と語る長坂氏。

 基盤強化がいち段落すると、17年アメリカの黒鉛電極製造販売会社『SGL GE(現・Tokai Carbon GE)』社を買収。また18年には、米カーボンブラック製造会社(現・Tokai Carbon CB)を買収。

 さらに、18年には世界トップのCVD-SiC(炭化ケイ素)量産技術を持つ韓国企業を連結子会社化(現・Tokai Carbon Korea)。

 そして19年にドイツの炭素黒鉛メーカー(現・Tokai COBEX)、20年にフランスの炭素黒鉛メーカー(現・Tokai CarbonSavoie)を買収し、精錬ライニング事業に参入した。

 ポートフォリオ改革には、黒鉛電極事業の浮き沈みを和らげる狙いがある。黒鉛電極は成長事業でありながら、高収益を上げる一方、赤字事業にもなるからだ。

 実際、20年2月に発表した22年度の業績目標は売上高3000億円、営業利益540億円だったが、21年度の業績は売上高2589億円、営業利益246億円。業績に大きく影響したのは黒鉛電極が営業赤字に陥り「鳴かず飛ばずの状況」だからだ。

 だが、今年1月にも日本製鉄が約880億円かけてタイの電炉を買収するなど需要はある。

 しかも、高炉から電炉への置き換えが進めば、電炉の規模も拡大する。電炉が大きくなれば必要とされる黒鉛電極もハイグレードのものが求められる。

 現在、大型電炉で使われる黒鉛電極を製造できるのは世界に3社。東海カーボンと昭和電工と米国のグラフテック社だけだ。

 にも拘わらず収益の出ない現状を打開しようと「売価の回復と高付加価値化」で収益改善を図っている。

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