2022-04-04

【関西財界セミナー】伝統精神の「三方よし」を新しい資本主義構築にどう生かすか?

昨年に続き、2度目のオンライン開催となった



天然ガス、水素、そして原子力をどう考える?


 日本政府は2050年に脱炭素、「カーボンニュートラル」を目標に掲げるが、実現に向け、関西には様々な技術の蓄積がある。そのカーボンニュートラルについて議論したのが第3分科会。

 関西には創業時から水素に取り組み続ける岩谷産業、世界初の水素運搬船を開発した川崎重工業など、水素エネルギーに強みを持つ企業が存在する。

 川崎重工で技術開発本部長を務め、現在顧問の牧村実氏は「ガラパゴスにならないよう、国際的な仲間づくり」を意識してきたと話す。つまり、日本は技術で先行しても、後から来た欧米に「ルール」を決められてしまい、その技術を生かしきれないという場面が多かった。

 そこで「ルールを守るのではなく、つくる側に回ることが重要」と牧村氏。環境エネルギーの領域では、日本が主導して「胴元ビジネス」を展開することが大事だと強調する。

 また、大阪ガス副社長の宮川正氏は「省エネに強力に取り組む必要がある。再度世界一を目指すべき」と力説。環境問題から再生可能エネルギーの活用が進むが「エネルギー政策を考える際には経済性、安定供給を考える必要がある」と強調。

 再エネを増加させることが重要だが、天候に左右されるだけに、それを支えるベースが重要になる。天然ガスの活用を進めると同時に、原子力発電をどう位置づけるかが重要になる。

 関西地方で、低公害車を使った「グリーン配送」で知られるエコトラック社長の池田雅信氏は「CO2を減らすのではなくゼロにするとなると水素の活用は不可欠。そして水素製造との親和性を考えても、原発の再稼働を考える必要があるのでは。震災後の日本は慎重になり過ぎて、『羹に懲りて膾を吹く』になってしまっている」と指摘。

 諸外国でも原子力を「グリーンエネルギー」と位置づけるところが出てきているだけに、難しい議論ではあるものの、日本でも原子力にどう向き合うかを真剣に考えていく必要がある。

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