2022-08-23

【東宝・松岡宏泰新社長が登場】演劇・映画・不動産に次ぐ「第4の柱」にアニメ事業を据えた理由とは?

東宝・松岡宏泰社長



「第4の柱」の事業の育成

 ―― 創業者の理念を踏襲しつつ、新たな挑戦もしますね。東宝は演劇、映画、不動産に続く「第4の柱」の事業の育成も進めているということですが。

 松岡 はい。「アニメ」を第4の柱にしたいと考えています。実は当社のアニメ配給事業は数十年の歴史があります。『ドラえもん』から始まり、『名探偵コナン』『クレヨンしんちゃん』、そして『ポケットモンスター』もある。それこそ宮崎駿監督や細田守監督、新海誠監督などの作品もあります。

 当社は素晴らしいアニメをずっと扱わせていただいています。アニメはこの数年、商売のレベルが上がっているのは確実だと思います。全世界で配信市場が非常に成長して行く中で、アニメというジャンルが確実に広がり、ファン層も広く厚くなっています。そこに当社はここ10年定期的に自社幹事作品を送り込んできたのです。

 まさにいま、アニメは成長軌道に乗っているジャンルだと思います。島谷が10年前に「TOHO animation」というレーベルを作り、最初は苦労しながらも、結果として今はそれが花開いている状況です。日本だけでなく、海外でも展開できていますし、グッズの販売やゲーム展開もできるようになっています。

 ―― アニメが事業の幅を広げているのですね。

 松岡 その通りです。アニメから派生して演劇もできるようになっています。映画という事業セクションで言うと、映画館もあり、映画の配給もあり、映画を製作する部門が東宝にはあります。これまではそれを一括りでやってきました。その中にアニメも含まれていたわけです。

 ただ、いま申し上げたようにアニメは事業に幅があります。1つのシリーズが何年間もずっと継続して収入を上げるわけですから、回収に対する考え方や利益の出し方、それこそどうやってそのシリーズを成長させるかという部分に対する投資の仕方もちょっと違います。

 ここにきて、そういった違いが如実に表れてきたので、映画とアニメを分けた方が戦略も立てやすいだろうと。そして投資家やメディア、消費者の皆様からも分かりやすい構造になるのではないかと考え、アニメを4本目の柱にしました。映画部門という柱を2つに分割したという感じだと思っています。

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