創業者の精神が源にあって
─ 事業を担うのは「人」ですが、人材戦略はどのように進めようと?
芳井 経営基盤強化において大事なのはガバナンス、そしてやはり人材です。今、当社では人材がかなり育ってきてくれていますが、それでも売上高が5兆円という規模になっていく中では、人が足りません。育成を継続すると同時に、即戦力の方を探していくことも大事になります。
樋口武男・最高顧問もよく「いくら良い事業があっても、人を間違えたら終わりだ」という話をしていましたが、その通りだと思います。「人」がいないのであれば、その事業はやるべきではないと。同時に、人事の課題、埋まらないパズルのピースは求めていかなければなりません。
例えば、これまで当社の技術統括本部長のピースが埋まらなかったので、大成建設前社長の村田誉之さんに副社長として来ていただき、ピースを埋めることができました。
村田さんは、いつからいるかわからないくらい馴染んでいます(笑)。今は技術系の「キャプテン」という感じでみんなが集まっています。当社技術陣の今までにない風景を見ている感じがしています。
他にも海外に強い人ということで、三菱商事で海外不動産ユニットマネージャーや開発建設本部長を務めた一木伸也さん、DXをやっていこうという時には社外取締役としてNTTドコモ元社長の吉澤和弘さんに来ていただくことができた。その意味でも人的資本の確保は非常に大事だと思っています。
─ 芳井さん自身も外から来た経歴を持っていますね。全く違和感なく働いてきたと。
芳井 そうです。大和ハウス工業は現場志向の会社で、中途採用でも全く構わないという風土があるんです。自分に仕事を任せてもらっているという感覚をすぐに持つことができましたね。
─ 人材が流動化する中で企業へのロイヤリティについてはどう考えますか。
芳井 当社は創業者精神の下に集います。創業者の教えを語ること、それが我々の源だと思っています。