2022-11-10

【宮崎県】河野俊嗣知事が語る” 地方創生への方策”

宮崎県知事 河野 俊嗣 Kouno Syunji



「5つのS」をスローガンに

─ 宮崎の再生には食とスポーツが鍵を握りますね。 

 河野 はい。食とスポーツは宮崎の強みのツートップだと感じています。私はよく宮崎の強みは「5つのS」と表現しています。それは「食」「スポーツ」「自然」「森林」「神話」で、これらの頭文字が「S」なんです。 

 自然・森林では「綾地域」がユネスコエコパークに登録されましたし、「高千穂郷・椎葉山地域」が世界農業遺産に認定をされました。こうした国際的な位置づけによって県民の誇りにもつながり、地域の魅力の発信にもつながります。 

 また、神話では12年から「記紀(古事記・日本書紀)編さん1300年記念事業」に取り組んできたのですが、その集大成が、昨年の「国民文化祭」「全国障害者芸術文化祭」でした。これも県民の間で認知を高めて発信をしていこうと。 

 そして「神楽」についても、約200ある県内の神楽だけではなく、国の重要無形民俗文化財に指定をされている全国の神楽が連携し、ユネスコの無形文化遺産の登録を目指そうと全国組織が立ち上がりました。こういった文化的な資産の顕彰も県民の誇りにつながります。 

 ─ 先ほどの森林で言えば、木材の有効活用が期待されます。 

 河野 その通りです。宮崎県は杉の木の生産量が31年連続日本一ですし、製材品の出荷額でも全国トップクラスです。コロナ以降、建築用木材の供給が需要に追いつかないことに起因する木材価格の高騰「ウッドショック」が叫ばれる中、材価が回復し、伐採が進んでいます。 

 いわば山が動き出しているわけです。先人が築いた宝の山が、実際に宝として地域経済のプラスになっています。 

 ─ 資源循環型の森林・林業も課題になっていますね。 

 河野 再造林が大きな課題になっていますが、宮崎の再造林率は七十数%と全国トップクラス。「Mスターコンテナ」と呼ばれる育苗容器で通年植栽ができるものを自前で開発し、積極的に再造林を進めています。 

 森林林業では我々はトップランナーであり、全国のモデルを示していこうと頑張っているところです。 

 ─ 河野さんは座右の銘に「ノブレス・オブリージュ」を掲げています。知事になるまでの道のりを聞かせてください。 

 河野 この言葉は高い身分に伴う義務という意味ですが、しかるべき役割を果たすべき立場にある者、またはそういう機会に恵まれた者は、しっかりとその義務を果たしていくべきだと、そういう覚悟を求める言葉だと私は受け止めています。 

 もともと私は中学生の頃に、公のために尽くしたい、国を良くする仕事をしていきたいと考え、外交官を志望していました。被爆地である広島県の出身でもあり、平和の尊さを大事にしていかなくてはならないというのが根底にあったのです。 

 その後、私は地方自治を志し、地方を活性化していくことで、我が国の発展に貢献したいと考えるようになりました。そんな思いで自治省(現総務省)での仕事を選び、国・霞が関や県庁、市役所、各現場で行政経験を積んできました。 

 そして、先ほど申し上げたように、口蹄疫の終息宣言を機に宮崎県の置かれた状況を踏まえると、自分が果たすべき役割が明確になりました。


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