『柏の葉』、そして『新木場』『葛西』とラボ群を
その6つ目の商品・サービスを提供する拠点としての街づくりを進めているのが『柏の葉』(千葉県柏市)や『新木場』(東京・江東区)、『葛西』(東京・江戸川区)でのラボラトリーづくり。
こうしたラボラトリー型コミュニティづくりの基盤になっているのが、イノベーションを起こして付加価値を付け、需要を創造するという考え方。つまり、供給が需要を引き出すというスマートシティづくりである。
『柏の葉』には、東京大学、千葉大学、医療創生大学などがキャンパスを持ち、大学間での連携、さらには産・官・学連携も押し進めている。
〝柏の葉スマートシティ〟として目指すのは、学術研究資源の活用と国際化。その一環として、千葉大学、三井不動産などが連携して、英国の名門パブリックスクール・英国ラグビー校を招致。今年8月下旬に開校の予定だ。これは、教育の国際化を図る試みとして注目される。
新木場は、材木の集積場として以前は栄えていたが、今は倉庫などが立ち並ぶ地区。
「住宅は基本的にできない都市計画区域で、ゆえに近隣問題などもあまりない。そこで新しい産業を起こそうと、ラボを作りませんかと地元に提案したところ、非常に賛同していただきました」と植田氏が語る。
葛西は創薬メーカー、第一三共が葛西研究所を構えている所。三井不動産がその研究所の一部を借り、マスターリースで小割りにして、研究施設として貸し出す仕組みを開発。研究機関のコミュニティづくりだ。
『産業デベロッパー』として掘り起こす事は、「まだまだ、いっぱいある」と植田氏。
東京もまだまだ変わる
地方の再生もある。
「わたしたちは、例えば富山の小矢部でアウトレットをやったりして、地方も手掛けています。ただ、地方は新たに産業を興していくメカニズム自体が非常に弱ってきているのが事実。しかし、これも東京一極集中対地方という構図の中で語るべきではないと思っています。日本の強みというのは、ある意味で集積の強みだということ。国際競争力が東京にあることは忘れてはいけないと思います」
東京は集積の強さを、地方はその土地の強さをそれぞれ発揮していくということ。