2023-05-29

【政界】ウクライナや韓国外交で支持率上昇 三度目の正直を狙う岸田首相の奇策

イラスト・山田紳



永田町のジンクス

「年内解散」を裏打ちするような永田町のジンクスがある。

「日本でG7サミットが開催された年は衆院解散がある」というものだ。1975年に始まったG7サミットは毎年1回、加盟国が持ち回りで開催する。広島サミットは7回目の日本開催となった。

 日本で初めて行われたのは79年の東京サミット。その後、86年と93年の東京サミット、2000年の沖縄サミットと開催されたが、いずれの年も衆院解散・総選挙が行われている。

 5回目の洞爺湖サミット(08年)と6回目の伊勢志摩サミット(16年)の年には衆院解散はなかったが、日本で開催された年は3分の2の確率で衆院が解散されている。

 ある自民党関係者は「西暦の末尾が『3』の年はなぜか衆院解散があることが多い。やはり今年もあるのではないか」と語る。衆院解散にまつわる永田町のジンクスのひとつだという。

 確かに10年前の13年こそ衆院解散はなかったが、03年は当時の首相・小泉純一郎が10月10日に衆院を解散し、自民党を勝利に導いた。さらに遡ると、1993年(当時の首相・宮沢喜一)と83年(同・中曽根康弘)も衆院解散・総選挙が行われており、63年(同・池田勇人)や53年(同・吉田茂)もそうだ。

 データからみても年内の衆院解散はほぼ間違いない。だが、岸田はこれまで重要局面で大方の見方を裏切る決断を何度かしている。

 一昨年の10月に岸田が首相に就任した直後、翌11月に実施されるはずだった衆院選を急きょ「10月31日投開票」に前倒しした。衆院解散から投開票まで17日間という戦後最短のスケジュールだったこともあり、与野党を大きく驚かせた。

 昨年8月の内閣改造・自民党役員人事の時も、当初は「9月改造」が有力視されたが、岸田は与党内に根回しをせずに不意打ちで、8月に前倒しした。自民党幹事長の茂木が予定した出張を取りやめるほどだった。

 岸田は今回も想定外の決断をする可能性はゼロではない。与党内からは「解散は考えていないと言いながら不意打ちを仕掛けようとしているのかもしれない」との声も漏れる。

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