2023-07-19

日本取引所グループCEO・山道裕己の「日本に魅力はある。内向きにならずにもっと外を向いて」

山道裕己・日本取引所グループ・グループCEO




日本再生へ向けてのJPXの使命と役割

 日本再生と日本取引所が訴えるコーポレートガバナンス改革は重なる。

 日本取引所グループ(JPX)は金融商品取引法上の持ち株会社であり、株式会社東京証券取引所、株式会社大阪取引所、株式会社東京商品取引所などの取引所運営会社を傘下に持つ。

 また、DX時代の情報システムや関連サービスを提供するJPX総研、清算機関の日本証券クリアリング機構もJPXの子会社である。改めて、山道氏に日本取引所グループCEOに就任しての思いを聞くと─。

「われわれがまず果たさなければいけない役割、ミッションはこれまでと変わりません。公正公平で、信頼性の高いマーケットを運営すると。また魅力のある市場を投資家にも企業にも提供して、その結果として、豊かな社会の実現に貢献するというのがわれわれのミッションです」

 山道氏はこう強調しつつ、「ただ、やはりわれわれを取り巻く環境というのはどんどん変化していますので」と新しい事にも挑戦していきたいと語る。

「伝統的な取引所の役割というのはしっかり果たしていくのですが、それだけではなくて、新しい分野、デジタルだったり、サステナビリティと言われていますけれども、そういった分野にも積極的に打って出ていく」

 新しいことを手がける理由について、「われわれは世界中の取引所と投資資金の争奪戦をしています。そういう意味での新しい分野への進出。伝統的な取引ビジネスではない分野にも進出する必要があるということです」と山道氏は語る。


ステークホルダー目線での改革を、迅速に

 折しも、岸田政権は、資産所得倍増計画を打ち出した。2014年にスタートしたNISA(少額投資非課税制度)を拡充・恒久化し、24年から〝新NISA〟を導入。国民、特に若い世代の資産所得増を図ろうとしている。

 そして、なにより内外の投資家と資産需要を持つ企業を結び付けるという取引所の使命と役割である。

 取引所にも多くのステークホルダー(利害関係者)がいる。

 普通、企業のステークホルダーといえば、株主、顧客、従業員、地域社会が挙げられるが、取引所の場合、それに加えて、証券会社や投資家、そして規制当局(政府)、学術関係者と幅広く広がる。

「さまざまなステークホルダーがいる中で、彼らと積極的に対話をすることで、彼らの視点も取り入れていく」

 山道氏は、「ユーザー目線、あるいはステークホルダー目線で必要な改革をどんどんやっていく。そのスピード感が求められている」と心情を吐露する。

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