2022-11-01

【日清製粉グループ本社・瀧原賢二社長に直撃!】原材料高騰下をいかに生き抜くか?



世界でも高い日本の製粉技術

 ─ 日本の製粉の技術力は世界と見ても高いのですか。

 瀧原 世界的に見ても日本の製粉の技術力は全く負けないレベルを持っています。さらに加えて言えば、日本の強みはお客様からの信頼度です。小麦は農産物です。ですから、小麦を原料とする小麦粉の品質はモノによって非常に変わります。

 しかしお客様からすれば、手掛けるパンや麺を作るときには同じ品質の小麦粉でないと困ります。そこでお客様からは「小麦粉の品質は一定にしてください」と言われます。それに対し、どんな小麦を使っても一定の品質にするためには小麦をブレンドするなど、常に工夫することによって実現できます。このようにお客様の求める一定のスペックに収まるようにするというのが日本の技術力なのです。

 ところが海外、特にアメリカでは、どちらかというと小麦に合わせて小麦粉ができます。ですから、その時の小麦粉に合わせてパンを作ってくださいという習慣なのです。アメリカで食パンを買ったりすると大きな穴が空いていたりするのですが、それはパンに合わせて小麦粉を提供しているのではなく、採れた小麦に合わせて小麦粉ができているからなのです。

 ─ 小麦文化は国ごとに違うということですね。ところで、国内では加工食品事業にも力を入れてきましたね。

 瀧原 ええ。スーパーの店頭でも当社のパスタや天ぷら粉、から揚げ粉などの製品をたくさん見ると思いますが、これがまさに当社のブランド力だと思っています。ここをしっかりと磨いていきたいと思っています。

 ─ 今後の成長を牽引する事業はどんな事業になりますか。

 瀧原 海外事業です。製粉事業、加工食品事業、酵母事業の3つの事業を中心に海外展開に注力していきます。技術力的には海外でしっかりと展開できる強みを持っています。例えば製粉事業では売り上げの半分が海外になっていますし、連結売上高でも4分の1を占めます。これはさらに力を強めていけるのではないかと思っています。

 さらに国内外両方でトライしていきたいのが中食・惣菜事業です。この事業は20年ぐらい前に買収して当社が進出した事業なのですが、今では売上高比率ではグループ全体の2割を占めるほどとなっており、非常に大きな事業になっています。

 ただ、中食・惣菜事業には消費期限という課題があります。ですから、冷蔵のチルド流通を活用して消費期限を伸ばす取り組みが重要です。例えば、葉物を使った惣菜は、どうしても日付が2日ほど経つと色が変質したりする。そこで菌の発生を抑えたりするノウハウもありますので、そこでも当社の強みを生かせると思っています。

 さらに、健康食品事業ではグループ会社のオリエンタル酵母工業でバイオ事業を展開しており、健康とバイオをしっかりとつないで健康の分野にも力を入れていきたいと思っています。

 ─ エンジニアリングなど珍しい事業もありますね。

 瀧原 はい。コア事業ではありませんが、エンジニアリング事業とメッシュクロス事業があり、これらはお客様が電子部品や自動車など、ハイテクな商品群を手掛ける領域となります。ただ、これらの事業は元々製粉から派生した事業になります。

 例えば、メッシュクロス事業は製粉のふるい網を作っていた事業から派生しました。そこからきめ細かいメッシュの技術が派生し、今は最先端のハイテク商品に使われていると。太陽光パネルなどにもメッシュクロスが使われています。そういう意味では、こういう分野のところもコア事業ではありませんが、期待ができる事業になります。

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