2022-11-15

【日本最大の機関投資家】日本生命社長・清水博の「投資の王道」論

清水博・日本生命保険社長



厳しい環境下こそ人は育つ!

「わたしは決して悲観的には考えていません。むしろ中長期的には、人材を育てることにつながってきます。短期的には仕事としてはしんどいですけど、人材が育つことによって、運用後の体制としては強くなると思っています」

 厳しい環境下こそ、人は育つということ。実際、そういう経験もしてきた。

 安倍晋三元首相が第2次政権を構築したときの経済政策・アベノミクスでは超金融緩和策が打ち出された(2013年春)。 マイナス金利の登場に、資産を運用する側は戸惑い、まごついた。当時、清水氏も運用部の担当役員で、悩みに悩んだ。運用機会が無くなったと思う状況がしばらく続いた。

 ところが、知恵は出てくるものである。若手を含めて、いろいろな知恵が出てきたという。

「はい、新しい手法を取り入れたり、これまで投資をしていないような国とか地域の債券に投資を広げていったりした。クレジット、社債なども同じですね。これまで投資をしなかったようなものまで手がけた。もちろんリスク管理はしっかりした上でのことですが、このことによって相当経験とスキルを磨いて、マイナス金利も何とか乗り切っています」

 同社の2022年3月期の業績は、保険料等収入が5兆3860億円(対前々期比5・8%減、対前期比3・8%増)とコロナ前と比べると、減収だが、2021年3月期と比べると増収と回復軌道へ乗せている。

 基礎利益(一般企業の営業利益に近い)は8721億円(対前々期比25・3%増、対前期比26・3%増)という数字。今期(2023年3月期)は増収減益の見込みである。

 環境は激しく変化するが、経営の王道を歩く─という清水氏の経営である。

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