発信力が必要?
森友・加計問題で計算が狂ったのは岸田だ。
一時は菅との一騎打ちの戦いになるとみられ、優位に立っていた。「ポスト菅」候補の中で唯一の派閥会長のため、他派の領袖も推しやすいとされた。安倍政権で長く外相を務め、外交政策では安倍も支援しやすかったといえる。
しかも、出馬会見で「総裁を除く党役員は1期1年、連続3期まで」とする党改革案を打ち出したことは、5年以上も幹事長に就いた二階派会長の二階俊博を警戒するベテラン議員からも、党執行部の運営に不満を持つ中堅・若手からも好感された。
ところが、9月2日の民放BS番組で、岸田は森友・加計問題の「さらなる説明」の必要性を口にしたため、それに対して安倍が一気に距離を置いた。安倍は推薦人集めに奔走していた高市の支援に回る。一気に国会議員票の上積みが期待できなくなった。
岸田は7日、森友問題に関し「再調査は考えていない」と必要性を否定してみせた。だが、そうした配慮は裏目に出る。「結局は切り込めないのか……」といった失望の声につながり、「平時のリーダーは岸田、乱世のリーダーは河野か」との見方が広がった。
岸田はネットで国民から意見を募集する「岸田BOX」をつくり、政策を打ち出したり、質問に回答したりして発信力の強化に努めているが、どこまで浸透するかも不透明だ。
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