2021-09-27

【政界】脱派閥? 世代交代? 絡む思惑 衆院選を控え、カギを握る党員票

イラスト・山田紳



女性初の宰相誕生か?

 安倍の支援表明を受けて出馬にこぎつけられた高市は、物価安定目標のインフレ率2%や憲法改正、中国への技術流出を防ぐための法整備といった「安倍路線」の継承・発展を掲げる。さらに首相になっても靖国神社参拝を続ける考えを示すなど、自民党のコアな保守層の支持を固めている。

 安倍に近い若手議員を中心に細田派内の一部が高市支援に回るが、細田派内には派閥を飛び出し無所属の高市に疑念をもつ声もある。どこまで党員・党友票に浸透できるかがカギとなりそうだ。

 女性初の総理・総裁を視野に入れるのは高市だけではない。これまで何度も総裁選出馬に意欲をみせてきたが、推薦人20人という壁に押し戻されてきた野田は今回、壁を突き破れるのか注目される。

 候補者乱立の様相を呈してきた総裁選。どの派閥も若手の締め付けが効かず、投票行動、支援構図をまとめきれない。自主投票となる公算が大きくなっている。このため、今回の総裁選をきっかけに脱派閥政治、世代交代が加速することも想定される。

 ただ、党内各派閥でまとまった票を動かせないとなれば、1回目の投票でどの候補も過半数を獲得できず、得票上位2人による決戦投票に突入しかねない。決選投票は国会議員票383票と各都道府県連票47票の計430票で争うため、国会議員票の比重が増し、各派閥の影響力が重要になる。派閥幹部にとって難しい舵取りを迫られる。

 もっとも、今回の総裁選は衆院選が目前に迫った中でのリーダー選びだ。より勝てる総裁を選出するには、党員・党友の投票行動が全体の流れを左右することになりそうだ。

 党員・党友票は党本部で集計し、総裁選投開票日に発表される。各議員は地元の都道府県連の動向をある程度把握できるため、勝ち馬に乗ろうとして国会議員票も一気に同じ方向に流れる可能性が高い。

 さまざまな思惑がからみあいながら始まった「ポスト菅」レース。総裁選766票の行方は最後まで複雑な動きを見せそうだ。(敬称略)

【政界】自民党支持層の「菅離れ」加速 衆院選を前に総裁選は波乱含み

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